アメリカによれば今回の行動は軍事行動ではありません。
アメリカの認識では、今回拘束されたマドゥロ氏は選挙で選ばれた国家元首ではなく国家元首を違法に名乗る人物です。
その人物がアメリカに対して麻薬輸出という犯罪行為をしたため、軍隊を使って逮捕したというのがアメリカの立場です。
今回、米軍による侵略を受けたベネズエラ人の間でも、不思議なことにマドゥロ大統領の拘束を歓迎するムードが少なくありません。この点を説明します。
ベネズエラでは左派のチャベス大統領の出現後、いわゆるポピュリズム政策により国力が大幅に低下してしまいました。
チャベス氏の死後、後継となったのがマドゥロ大統領で、一度目の選挙では対抗候補に勝利したとされています。しかしマドゥロ政権下でベネズエラの経済はさらに悪化し、多くの国民がベネズエラから国外に脱出しました。
そして行われた直近の選挙ではマドゥロ大統領は落選したとみられるのですが、選挙結果を公表することなく再選を宣言し、大統領の座にとどまり続けていました。
これに対抗する勢力のリーダーが、昨年ノーベル平和賞を受賞したマチャド氏で、彼女は国際世論では圧倒的な人気を得ています。
さて、ここで日本人が矛盾に感じるポイントがあります。トランプ大統領は軍事行動直後に「ベネズエラはアメリカが管理する」と発言していました。
これまでの民主主義と自由主義を重視するアメリカ的な思想をもとに考えると、ベネズエラの政権は2024年の大統領選で選ばれていたはずのゴンザレス候補に委譲させるのが順当です。
マチャド氏が公職追放されたことで代替候補に擁立されたのがゴンザレス氏で、彼はマチャド氏の強い支持を受けて選挙戦に勝ったと目されています。
ところがトランプ大統領はあっさりとマチャド氏を見捨て、マドゥロ政権の副大統領で、軍事行動後に暫定大統領についたロドリゲス氏との取引を始めます。
これは極めてアメリカ的ではないやり方です。そしてそのアメリカ的ではないディールを進めるトランプ大統領の思考を理解しないと、これから起きることも理解できません。







