なぜトランプ大統領はアメリカの思想的に正当性があるマチャド・ゴンザレス陣営ではなく、ロドリゲス陣営(つまり旧チャベス陣営)とディールを始めたのでしょうか?彼はそのほうがビジネスとして利が多いと考えたのです。

ベネズエラを標的に選んだ
トランプ氏の「3つの行動原則」

 この記事ではトランプ大統領の思考について3つの重要原則を提示したいと思います。そのひとつめが投資対効果の重視です。

 これまでのアメリカが、ベトナムやアフガニスタン、イラクなどで行ったことを振り返ってみましょう。

 正義と民主主義を掲げ、これらの国々に軍事介入をしたのがアメリカの歴史です。軍隊とCIA両方を用いて反政府側のリーダーに肩入れして政権転覆を狙うのですが、歴史的には極めて投資対効果が悪い終わり方をしています。

 いずれの場合も米軍の投入で巨額の国民の税金が使われ、軍事行動は長く続き、しかも親米政権は樹立できずに、アフガニスタンのような最悪なケースでは、肩入れしてきたビンラディンが逆にアメリカに牙を剥く存在に育ってしまいました。

 投資対効果で考えたら、ベネズエラ問題のように一日限りの軍事行動で終わらせたほうが投入する資源は圧倒的に少なくすみます。

 マドゥロ氏を拘束し、アメリカの裁判で有罪にし、ベネズエラ経由でのアメリカへの麻薬輸出が止まればそれで得たかった効果は得られます。

 その後の政権がロドリゲス陣営か、マチャド・ゴンザレス陣営になるのかはイデオロギー的には大きな違いですが、それは他国の問題です。自国の投資対効果的な視点でみれば、早く交渉がすすむのは実効支配力があるロドリゲス暫定大統領です。

 だからトランプ大統領はあっさりとマチャド氏を切ったのです。判断としてロドリゲス氏がマドゥロ氏を見捨て、アメリカとの交渉の土俵に乗ったことで、この結果につながりました。

 ここでトランプ大統領のふたつめの原理原則が重要になってきます。ドンロー主義とよばれる考え方です。これはアメリカの第五代大統領だったモンロー大統領が掲げたモンロー主義に、ドナルド・トランプ流の考え方を加味したものです。