ドンロー主義は簡単にいえばアメリカは西半球の統治にしか関心を持たない。だから東半球の政治には口出しをしない。東半球の国々も逆に西半球、つまり南北アメリカ大陸の問題には口出ししないでくれというものです。
経済は別です。経済については昨年、トランプ関税で中国やEU、日本やアジアに対して注文をつけ、一定の決着をみました。一方でドンロー主義で問題にしているのは経済ではなく政治問題です。
具体的にはアメリカ社会をむしばんでいる麻薬の問題で、カナダ経由のフェンタニルの問題、メキシコ、コロンビア、ベネズエラ経由のコカインや麻薬の問題はアメリカと南北アメリカ大陸の各国の間で解決させろという考えです。
逆に言えば、ウクライナとロシアの問題はEUが解決すればいいというのがドンロー主義の視点でもあります。
この麻薬問題については、実はアメリカへの影響という面でベネズエラはそれほど大きくないという矛盾があります。
本気でアメリカへの麻薬流入を止めたいなら、コロンビアを攻撃したり、メキシコと事を構えたりするべきだという論理です。
しかしこれはトランプ大統領の第一原則と矛盾します。コロンビアに軍事行動を起こせば泥沼の戦争になります。それはトランプ大統領は避けたい。巨額の戦費を使うのが嫌なのです。
そう考えるとベネズエラへの軍事行動の利点が見えてきます。大統領を拘束したことで、メキシコにもコロンビアにも「やりすぎるとお前たちにも同じ未来がやってくるぞ」と脅しをかけたようなものだということです。安価な投資で両国をけん制したわけです。
ここでトランプ大統領の3つめの原則が登場します。力による国際政治です。それまでの政権のようにイデオロギーによる国際政治ではないのです。
この原則を象徴するワードが「G2」です。世界をアメリカと中国という二大国がルールを作って支配していけばいいという考え方です。
これまでのアメリカ大統領であれば、イデオロギーが近いEUや日本と陣営を組んで、中国、ロシアといった権威主義の陣営と対峙をするというのが国際政治の考え方でした。







