『「数字のことしか考えていない人」が見落としている“大事なこと”』
それを教えてくれるのが、400以上のチームを見て「人と協力するのがうまい人の特徴」をまとめた書籍『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)だ。「チームの空気が変わった」「メンバーとの関係性が良くなった」と話題の一冊から、「チームで結果を出すためのコツ」について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

職場で嫌われる「数字のことしか考えていない人」が見落としている“大事なこと”・ベスト3Photo: Adobe Stock

「で、数字はどうなの?」が口ぐせの職場で起きていること

 職場には、何かあるたびにこう言う人がいます。

で、数字ではどうなの?」
「結局、どれくらい成果が出たの?」

 もちろん、数字で表せる結果を出すことは大事です。

 ですが、それは簡単なことではありません。

 試して、失敗して、やり方を変えて、ようやく“数字になるかもしれない兆し”が見えてくる。

 それが、ほとんどの仕事の現実でしょう。

 それにもかかわらず、数字の話だけを繰り返し、数字につながる行動ばかり評価していると、チームは少しずつ疲弊していきます。

「頑張ってはいるけど、数字につながっていないから無意味」
「数字を出せない自分の努力なんて無駄なんだ」

 そんな空気が広がり、仕事へのモチベーションが下がり、行動する気持ちも失われていきます。

 そして、本来なら数字につながる可能性のある挑戦も、静かに潰れていくのです。

見落としがちな価値①「意外な収穫」

 こういった事態に陥らないためには、数字には表れない「変化」の価値に目を向けることが大切です。

『チームプレーの天才』という本が、そのための3つの着眼点を紹介しています。

 1つめは「意外な収穫」です。

 同書には、こう書いてあります。

想定外な学びや感情は当事者に心の揺さぶり、すなわち感動を創造します。
「想像していなかったメリットに気づいた」「考えてもみなかった活用方法を発見した」「意外な能力が身についた」。これらはメンバーや関係者に一体感(ストーリー)と成長実感をもたらします。

――チームプレーの天才』(335ページ)より

 新しいチャレンジによって、ときには“想定外の学び”が生まれることもあります。

 こうした意外な収穫こそが、次の成果の種になります。

 ですが、もともと目標として定められていた数字しか見ていないと、「想定外」なことはすべて「なかったこと」にされてしまいます。

見落としがちな価値②「過去との差分」

「変化」という価値を見つけるための着眼点、2つめは「過去との差分」です。

『チームプレーの天才』に、こう書いてあります。

いかなる変化も、見方を変えればポジティブな印象になるし、ネガティブにもなります。まずは良し悪しの価値判断を捨てて、過去と現在の単純な「差分」に着目する。そこから、その変化をポジティブに捉えられないか考えてみてください。
――チームプレーの天才』(336ページ)より

 成長というと、「前進したか」「成果が出たか」だけを見がちですが、

・以前より議論が活発になった
・挑戦への抵抗感が減った
・判断スピードが上がった

 こうした変化も、立派な成長です。

 数字しか見ない人は、この“差分”を評価できません。

 するとメンバーは、「何を頑張っても、意味がない」と感じるようになっていく。

 結果として、数字を生み出す力まで削がれてしまいます。

見落としがちな価値③「人間関係の変化」

「変化」という価値を見つけるための着眼点、3つめは「人間関係の変化」です。

 これについても、『チームプレーの天才』から引用しましょう。

形として目には見えませんが、新たにどんな人と出会い、どんな関係を構築したかも、個人と組織の変化・成長の一部です。
困ったときに相談できる外の人、専門知識に詳しい外部の有識者、自分たちのことをよく知っていて親身かつ客観的なアドバイスをくれる第三者……いずれも強力なパートナーであり資産です。

――チームプレーの天才』(336ページ)より

 仕事を通じて出会った人。
 困ったときに相談できる外の専門家。
 腹を割って話せる他部署の仲間。

 たとえ短期的な結果にはつながらなくても、こういったつながりが構築できれば、それは極めて重要な資産となります。

数字は「結果」であって、「出発点」ではない

 数字は、評価の材料として重要です。

 ですが、数字だけを見ている人は、数字を生み出すプロセスを壊してしまいます。

 意外な収穫に気づくこと。
 過去との差分を言葉にすること。
 人とのつながりを資産として扱うこと。

 こうした“数字になる手前”に目を向けて大切にできる人こそ、結果として数字もついてきます。

 もしあなたの職場が、数字の話ばかりで息苦しくなっているなら。

数字になっていないけれど、何が起きているか?」

 と、「変化」に目を向けるところから始めてみてください。

 その提案が、チームを前に進めるエンジンになります。

(本稿は、『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』の内容を引用したオリジナル記事です)