親と子どもが親子であるというだけでよい関係を築けるかというと、そんなことはありません。一度切らなければなりません。一度、親子の関係のあり方を見直す勇気を持たなければいけません。

 親がいっているから正しいとか、親に従わないといけないとか、親を悲しませてはいけないと考えて自分が自分でなくなってしまっているのではないか。あるいは、自分が自分の人生を生きられていないのではないか、一度考えてほしいのです。

 そういう、親からの決別宣言をすると、親は困惑するかもしれないし、それどころか腹を立てるかもしれません。しかし、一度はややギクシャクした関係になる経験をするしかありません。

子どもの選んだ進路に
親が口を出してはいけない

 昔、家庭教師をしていたことがあります。その家の父親は娘の進路に関心を持っていました。しかし、実は非常に支配的な親で、子どもに自分の望む人生を歩ませたいと思っていました。

 子どもも初めの頃は親の言いなりになっていました。親は事あるごとに娘に説教をして、お前の成績だったらこの大学は無理だというわけです。

『螢雪時代』という受験情報誌に、データがたくさん記載されていました。親はその雑誌を片手に、この大学はいい大学だけれど、お前の成績では入れない。この大学だったら行けるけれども、この大学は家から遠いから、行くことは絶対許さないということを延々といいました。

 その間、彼女は父親の話を黙ってずっと聞いていました。

 しかし、ある日、「昨日は黙っていませんでした」と話しました。「私の人生だから私に決めさせてほしい」といったのです。親はまさか子どもの口からそんな言葉が出てくるとは思っていませんでした。さらに、こういったそうです。

「もしお父さんの意見に従ってお父さんがいいという大学に進学して4年目にこんな大学に行かなかったらよかったと思ったら、その時お父さんは私に一生恨まれることになりますが、それでもいいですか」