Photo:Caroline Purser/gettyimages
現在、バブル的状況にあるとされるAI業界。今後、AIのバブルは「いつ」「どのように」縮小するのか。そして収縮後は、どのような企業が生き残り、どのような事業環境が形成されるのか――。コンピュータサイエンス研究者である著者が、今後のAIバブルの縮小を逆にチャンスに変える考え方を提言する。※本稿は、国立情報学研究所・情報社会相関研究系教授の佐藤一郎『2030 次世代AI 日本の勝ち筋』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。
推進を目的としつつ
予算措置のないAI法
日本では2025年5月28日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」が成立しました。正式名称のとおり推進を目的とした法律ですが、推進に関する具体的な予算措置はありません。
一方で規制法としてみると、同法により政府はAIに関する調査権限を持ち、AIによって権利利益の侵害や経済安全保障上の影響が生じた場合、国が事業者の実態調査を行い、指導・助言を経て、改善しない場合は事業者名を公表できます。ただし、罰則は設けられていません(※1)。
悪質な事業者は名称を変えて再び問題を起こす可能性があるため、抑止効果は限定的です。
そもそも規制はリスクを低減するための手段であり、リスクを正確に評価する必要があります。このときリスクを過小評価すれば緩すぎる規制となり、過大評価すれば過剰な規制となります。しかし、AI法案に至る検討過程では、そもそもリスクに関する議論を避けてきた印象があります。
※1 AI法は推進法でも規制法でもなく、効力の具体性に欠ける面があり、内閣法制局がこの新法制定を認めたことが不思議に思えます。







