DMM.comのロゴが映ったスマートフォンPhoto:Sipa USA/JIJI

DMMグループの実質支配下にある大手アダルト動画制作会社WILLに、巨額の不正経理疑惑が浮上した。元幹部の内部告発によれば、旧経営陣への役員報酬を実態のない「業務委託費」に仮装し、所得税を免れるスキームが運用されていたという。DMM側は「資本関係はない」と否定するが、独自入手資料からはDMMによる執拗(しつよう)な財務管理と実質支配の継続が浮かび上がる。(フリーライター 村上 力)

「FANZA」売り上げの半分を担う中枢
元幹部が明かす“節税”工作の実態

 DMMグループは近年、祖業のアダルト動画(AV)配信プラットフォーム「FANZA」の運営から、エンターテインメント、金融などさまざまな分野に事業を多角化させている。だが、全体の売上高3700億円のうち、FANZAによる売上高は1000億円を超え、いまだAV事業がグループ収益の中核を占める状況にある。

 そのDMMグループの実質的な傘下にあるAV制作会社で、幹部が“節税”を目的に不正経理を行っているとの内部告発が、ダイヤモンド編集部にあった。

 問題のAV制作会社は株式会社WILL(社長・青柳勝久氏)。同社は旧社名を「北都」といい、DMM会長の亀山敬司氏が創業、今日のグループの礎を築いた存在だ。現在もFANZAが提供するAV配信による売り上げの半分は、WILLが制作したコンテンツによるものである。

 北都は09年に「CA」へ社名変更し、2016年頃までDMMの子会社だったが、アダルト動画出演者への強要問題を巡り、警視庁から家宅捜索を受けるなどして風評が悪化。DMMグループは17年にCAを売却し、グループから除外した。亀山氏はメディアのインタビューに「CAは完全に売却、グループ傘下から外れ、会長も現在個人的に株を全く持っておりません。そういう経緯でCAが終了しました」と述べていた。

 実際、CAは16年に設立されたWILL(設立時の商号はABC)に吸収合併されている。表向き、DMMグループとの資本関係は断絶したように見える。だが実態は、支配が継続していた可能性がある。

 DMMグループの収益を支えるFANZAの売り上げの半分をたたき出す巨大制作会社。表向きはグループから離脱したとされる同社で、一体何が起きているのか。ダイヤモンド編集部が入手した内部資料から、狡猾(こうかつ)な節税スキームと、今なお続くDMMによる「陰の支配」の全貌を明らかにする。