2005年、東京スタイル代表訴訟の和解を受け会見する村上世彰氏 Photo:SANKEI
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の助言を受け、アパレル大手TSIホールディングス(HD)が断行したリストラでは、凄惨な退職勧奨が横行した。問題の根底にあったのは、中期経営計画の過大な目標である。長期連載『コンサル大解剖』内の特集『BCG泥沼訴訟 丸投げリストラの全内幕』第8回の本稿では、TSIHDの前身である東京スタイル時代に村上ファンドと対立した苦い記憶が、2022年から投資を開始した英投資ファンドAVIへの警戒感を増幅させ、“コンサル丸投げリストラ”を断行するに至った経緯を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
英投資ファンドAVIが22年に投資開始
アクティビストを恐れたCFOの発言公開
村上ファンドの名が全国に知れ渡ったのは、2002年。当時アパレル大手の東京スタイルに突き付けた株主提案と、その後の攻防がきっかけだった。
「ナノ・ユニバース」「ステューシー」などの人気ブランドを擁した東京スタイルは、現TSIホールディングス(HD)の前身に当たる。村上世彰氏率いる村上ファンドは、同社の潤沢な現預金や不動産に目を付けて株式を買い増し、高配当の実施や役員派遣などを迫った。
対して東京スタイル側は、ファンドの要求を一蹴。委任状争奪戦(プロキシーファイト)へと発展し、日本中の注目を集めた。
最終的に東京スタイルは、村上ファンドの要求を退ける。その後、11年に業界大手のサンエー・インターナショナルと経営統合し、TSIHDが誕生した。
ところがTSIHDも、東京スタイルから潤沢な現預金と不動産を受け継いだが故に、アクティビスト(物言う株主)の標的となる。英投資ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド(AVI)だ。
AVIは22年にTSIHDへの投資を開始。23年3月に5.07%の大量保有が判明すると、7月に6.46%、8月に7.53%へと持ち株比率を引き上げていった。
この流れの中でTSIHDが頼ったのは、コンサルティング会社だった。23年秋ごろから複数社を俎上に載せ、24年にボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の起用を決定。24年2月期の営業利益17.6億円が吹き飛びかねない規模の数十億円を、BCGに投じることにしたのだ。
次ページでは、村上ファンドとの因縁が統合後の取締役に引き継がれ、AVIの投資後にTSIHDがコンサル依存へ傾いた経緯をひもとく。
TSIHDはAVIをどう恐れ、なぜコンサル頼みの構造改革に陥ったのか。サンエー出身の三宅家支配と大株主の力学、AVIの投資理由、内藤満CFO(最高財務責任者)が村上ファンドやAVIに触れた社内メッセージを基に、アクティビストを恐れて構造改革を推し進めた経営の実像を明らかにする。







