なみが身請けされたら、サワはひとりになってしまう
長屋に戻ると、なみ(さとうほなみ)がいて、サワに身請けの話が来たが迷っていると打ち明ける。
「身請け ええだないですか。何迷うことあるんですか。そこから出られるんですよね。もう遊郭で働かんでええんですよね」
そう言うサワだが、トキだけでなく、なみまでここを出ていくチャンスを得たと知ったら彼女の落胆はどれだけ大きいことか。
「出てしまったら私どげなことになるんだ」と、なみは迷っていた。「もちろんその人の嫁になって暮らしてくんだろうけど。私ずっとここにおるけん ここしか知らんけん。『男と一緒になるしか、おなごは生きていけん』とか言っときながら、いざ男と一緒になれるとなったら急に怖くなってしまって」。だから「一緒にずっと傷をなめあって生きていこう」と、なみは言い出す。
なぜ、人は悪気なく他人の気持ちを考えずに自分のことばかり話してしまうのだろう。悩むのは仕方ないが、いまのサワに言う案件じゃないと思う。サワには単なるのろけにしか聞こえないと思う。でもドラマでは、なみには他に話す人がいないからサワに話すしかない。
そこに遊郭の主人が福間(ヒロウエノ)が来ているとなみを呼ぶ。
福間は通りで売っていたブードゥー人形を持ってきた。売れに売れていると聞いて、なみは感心する。
今日、福間は返事を聞きにきたのだ。
「もちろん。だどもまだ迷っちょります。だいたいなして私を。若い子だってよくおるのに」
「それは正直わからん。わからんけどあんたは悲しい。ここにおる。誰よりも」
「情けってこと?」
おなみ、カチンと来た? と思ったところで――。
「ほんとうは惚(ほ)れちょるんだ。おなみに惚れちょる。だけん、一緒になりたい。それだけだけん」
福間はなみの手を握る。
こんなふうに言われたら、サワと傷を舐めあって生きていこうとは思わないだろう。残酷な持ちかけだったよなあと思う。たぶんサワも本気にはしていないとは思うが。たぶん、なみも川の向こうに行ってしまい、自分だけが残されるんだと思っているだろう。
サワは正規の教師になるため勉強するしかない。白鳥倶楽部で勉強に励んでいると、トキが現れる。
たちまち、土江(重岡漠)や門脇(吉田庸)がトキに話しかけて持ち上げる。サワは面白くなくて帰ってしまう。
トキが慌てて1階に追いかけていくが、サワはもういない。と思ったら、サワが戻ってきて――。
気まずい空気がたちこめる。
こんな状況、お互い、何を話していいかわからない気がするが、どうなるのだろう。
とてもデリケートな話を、短時間でたたみかけていくのはこのチームは得手ではなさそうだなあと筆者は感じた。そもそも、脚本家も演出家もプロデューサーも男性ばかり。それで女性の微妙な状況や関係性に挑むのは荷が重くないだろうか。
おもしろいところもたくさんあるが、結婚や友情などの問題に関してはデリカシーにやや欠けているのではないかといまのところ感じる。今後の展開で挽回に期待したい。









