どんな生き物でも「疲労感」がなければ、「疲労」に気づくことはできません。しかし、その「疲労感」を無視して頑張ってしまえるのが、人間ならではの特徴なのです。
疲労は生体アラームの中でもっとも気づきにくいため、深刻な状態になるまで放っておいてしまうという側面があります。また、熱や痛みがあれば、病院へ行ったり会社を休んだりするでしょうが、疲労でそこまでする人はあまりいません。
わかりにくく軽視されやすい、だからこそ蓄積し危険、それが「疲労」なのです。
自律神経の働きなくして
健康的な生活は維持できない
ここからは、具体的に「疲労の正体」をひも解いていきましょう。結論からいうと疲れの原因は「脳の中にある自律神経の中枢」にあります。
自律神経は、心拍や呼吸、消化・吸収、体温や血流など、多岐にわたる働きを秒単位で調節し、常に体内環境を一定のコンディションに保とうと頑張っています。この仕組みが「ホメオスタシス(恒常性)」です。
自律神経の働きは、生命維持には不可欠。1分でも自律神経の機能が止まってしまうと死に至り、私たちの意志でコントロールすることはできません。
自律神経の最大の目的は、「脳に酸素と栄養を安定的に供給し、脳の温度を一定に保つこと」。いかに心拍や血流などを調整して、脳が快適でいられる状態をキープするか。これが自律神経のメインミッションなのです。
「自律神経の中枢」とは、体中に張りめぐらせた神経を通じて、心臓や消化管などの内臓組織や筋肉、血管にさまざまな命令を出している、まさに司令塔。脳の「視床下部」や「前帯状回」が、それにあたります。
この司令塔が、脳に酸素と栄養を安定供給させ、脳の温度を保つため、体中の内臓や血管に指示を出し、機能的に働かせているというわけです。
自律神経が疲弊すると
人間は「疲れた」と感じる
たとえば運動などで活動量が多かった日に、だるさの原因は「体」にあると考える人が多いでしょう。しかし、これは脳が体に「疲れた」と誤解させているせい。実際に疲れているのは、脳にある自律神経の中枢です。







