「いつも、考えすぎて損してばかり!!」
日本人は礼儀正しくて、とても優秀……なのに、日々必要以上に思い悩んでいないだろうか?
“究極の合理思考”を身につければ、もっと楽しくラクになる」――。数十億規模の案件に関わり、インド人部下オペレーションを経験したインド麦茶氏は、「常に自分中心」「短期志向」「無計画で今を生きている」ように見える彼らに「日本人が幸せを謳歌するための“ヒント”」を見出したという。
新刊『インド人は悩まない』では、人口14億・上位1%が富の40%以上を所有する超競争・過密・格差社会を生き抜く人々の「規格外の行動力」と「抜け目なさ」の秘密を紹介している。今回はその魅力の中から一部をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

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日本の飲食スタッフは実質「インド人10人分」

 日本で言えば吉野家くらいのサイズになる「インドのレストラン」に入って人々を観察していると、主に次のような役割を担っている従業員がいることに気づく。

①レストランオーナー
②フロアマネージャー
③レジで会計をする係
④店の外で客の呼び込みをする係
⑤注文を取りに来る係
⑥料理を持って来る係
⑦皿をかたづける係
⑧調理をする係(シェフ)
⑨シェフの手伝いをする係
⑩食器洗いをする係
⑪掃除やゴミを片付ける係

 極端な場合、そういった小規模なレストランでもこれらの仕事を全て別々の人物がやっていて、暇や余裕があっても互いに仕事を共有したり助けたりすることはなく、それを注意されることもない。

 特に、①、②、③のような管理側が、④、⑤、⑥、⑦などのフロア作業を行うことは稀で、客が待っていたとしても担当者にやらせて自分はその仕事を手伝おうとしない。⑧や⑨などの係は⑩や⑪を行わずに、さらに低い賃金で働いている別の担当に「下請け」に出している。彼らが吉野家のワンオペを見たら、とてもそんなこと一人でやる強度の仕事ではないと卒倒するだろう。

仕事を「本能的に人に任せる」インド人

 現場にこれだけたくさん人がいると、分業による効率よりも仕事が分散することによる非効率のほうが大きい。また当然コストもかかるので、マネジメントとしてこれほどまでの分業を積極的にやっているわけではない。客側としてもメリットは薄く、配膳をする店員に注文を頼んでも、受け付けてくれない時がある。

 それにもかかわらず、インド民の組織は放っておくとまるで本能かのように仕事を細切れにする。こうして人が増えていくのである。これは私が実際にインド民で構成される会社組織を運営している中でも至る所で見られた光景だ。

「他人を使って楽をする」ほうが稼げる現実

 しかし、実際に、先ほどのレストランの例で一番金をもらっているのは誰だろうか。それは、店にいない①経営者だ。最も苦労をしている下請けの末端、⑪掃除やゴミの処理をしている担当の給料は一番低い。
 インドではその構造と階層が極端なので目に見えやすいが、日本とて本質は同じだ。

 日本人はいつの頃からか、「幸せになるため・豊かになるためには、楽をせずに働かなければならない」という謎の思考に洗脳されすぎている。
 しかしむしろ、「他人を使って楽をしよう」とするインド民の習慣のほうが資本主義の現実に近いのだ。

(本記事は『インド人は悩まない』の一部を加筆・調整・編集した原稿です)