心が壊れる原因はストレスではなく“アレ”だった
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

精神科医が身をもって知った…心が折れる「3つのNG行動」Photo: Adobe Stock

限界のサインを見逃さないために

今日のテーマは、心が限界を迎えた時にやってしまいがちな「3つのNG行動」についてお話しします。それは、「我慢」「気合い」「自己責任」です。

これらは、昔から道徳的な「美徳」として語られてきた側面があります。特に一定の世代以上の方には、体に染み付いてしまっている価値観かもしれません。

「我慢は大切」「気合で乗り越えろ」「すべては自分の責任だ」――切り取り方によっては良い言葉に聞こえますが、限界の状態、あるいは限界に近い時にこの3つを意識しすぎると、確実に心が折れてしまいます。

適応障害やうつ病といったメンタルダウンを引き起こし、結果としてその環境にいられなくなってしまうのです。

私が「ノーブレーキ」でうつ病になった理由

実は私自身、本来はあまり頑張りすぎないタイプで、好きなこと以外はダラダラしていたい人間です。そんな私が、かつて「我慢・気合い・自己責任」を貫いた結果、うつ病になってしまったことがあります。

当時、一緒に開業する予定だったパートナー(同じく精神科医でした)が亡くなりました。私はその跡を継ぐ形で、一人でクリニックを立ち上げることになったのです。開業当初は非常に忙しく、やるべきことが山積みでした。普通なら疲れてスピードを落とす私ですが、この時ばかりは違いました。

ふとした隙間時間ができると、亡くなったパートナーのことを思い出して悲しくなってしまう。家に帰っても、これまでは一緒にご飯を食べたり報告し合ったりしていた相手がいません。一人の時間が怖くて、「悲しまなくて済むように、仕事を終えたくない」とさえ思うようになりました。

そこから、私は生まれて初めて「アクセル全開、ノーブレーキ」で働き続けました。「しんどくても我慢だ」「気合で乗り越えなきゃ」「自分がやるしかないんだから自己責任だ」と自分を追い込み続けたのです。

「ほっとした瞬間」にやってくる反動

最初の1年ほどは、皮肉にも仕事に没頭することで、悲しみに囚われずになんとか回っていました。「自分、意外といけるじゃないか」とさえ思っていたのです。しかし、開業が軌道に乗り、バタバタした状況が落ち着いた時でした。ふと「ほっとした」瞬間に、一気にうつ病が始まりました。

振り返れば、寂しさを紛らわすために限界を超えてアクセルを踏み続けたことが、明らかな悪影響を及ぼしていたのです。パートナーを失い、一人で立ち上げをするという、すでに限界の状態だった私に「我慢・気合・自己責任」を上乗せしたことが原因でした。

価値観を「真逆」に転換する勇気

皆さんも、他人のことなら「我慢しすぎちゃダメだよ」「気合だけじゃ無理だよ」と言えるはずです。でも、いざ自分のことになると「あと少しだから我慢」「今夜は気合いで徹夜」「自分が悪いんだから自己責任」と、染み付いた価値観が顔を出します。

一度メンタルダウンしてしまうと、そこからの回復には多大な時間とエネルギーが必要です。そうなる前に、価値観を「正反対」に転換しましょう。

「我慢」しない:我慢しすぎない、あるいは我慢しなくても物事が続く環境を整える。
「気合い」に頼らない:気合いを入れないと乗り越えられないなら、その仕組み自体に無理があります。
「自己責任」で責めない:自分一人で抱え込まず、システムとしてミスを防ぐ工夫をしたり、限界があることを認めたりする。

「ちゃんとやらなきゃ」と自分を追い込みそうな時こそ、この正反対の考え方を取り入れてみてください。自分を限界まで追い込まないための、柔軟な思考を大切にしていきましょう。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。