想定外の出費だけど…納豆製造のためのキッチンを作った
アメリカでは、納豆は日本食スーパーマーケット等では売っていたりするが、高価で$15(約2300円)程度するものもある。
ただ発酵食品をアメリカで販売するためには、業務用キッチンで作られたものでなければならない。まだまだ納豆への理解が少ないアメリカでは、シェアキッチンの利用を断られてしまった。
納豆キッチン
そこで彼女は潰れたレストランから格安で器具を譲ってもらい、配管工や電気工事士なども雇って自力でつぎはぎのキッチンを作った。総額で3万ドル(当時約450万円)ほどを自己負担。「大学やMBAに行くよりは安価で、この投資で会社の作り方から学べるといいかなと思いました」と話す。
キッチン建設中の2カ月ほど、日本に行って納豆工場を訪問。茨城はもちろん、大阪、京都、東京、そして韓国にまで足を運んだ。納豆屋さんを訪れるたびに芋づる式に次の訪問先を紹介してもらえたのだ。
当時彼女は、発酵段階で豆が乾燥してしまうという問題にぶつかっていたが、日本の納豆屋さんを訪問することで解決策を教わった。市販の納豆に必ずついている透明のプラスチックのシート(被膜)が重要だったようだ。
良い被膜屋さんも紹介してもらい、納豆菌のブレンドのアドバイスまで教えてもらったという。
こうした始まった納豆事業は、最近まで誰も雇わずに全ての仕事を自分1人でやっていた。一通り自分で仕事をやってみないと、どんな人がその職に適しているのかが分からないと考えているからだった。現在は元サイエンティストの女性スタッフ2名も加わり、運営しているという。
まずやってみる、そして学びながら改善を続ける。こうした姿勢を、彼女はサイエンスの考え方だと話す。
元々はネガティブなパーソナリティの持ち主だったようだが、大学で「エクスペリメンタルマインドセット」をトレーニングされたことで考え方が変わったのだと言う。
エクスペリメンタルマインドは、すべては実験だと考える捉え方だ。実験だから失敗はつきもの。しかし失敗をするということは1つ選択肢が減って次のもっと良い選択肢に出合えるということで、結果的には良いことだと考える。
「例えば実験が思うようにうまくいかなかった時に、いちいち落ち込むのではなく、次に何をすればうまくいくのか、何がダメだったのか、どう改善すればよいのかを考える。そうした考え方が身につきました」
彼女の納豆ビジネス設立までのストーリーを聞くと、事業を始めるというのは何か思い切ってやるというものではないのだなと感じさせられた。むしろ面白半分で取り組みはじめて、いつしかのめり込み、気づけばビジネスになる――案外そういうものなのかもしれない。







