愛する夫に先立たれた作家の妻が、号泣の先にたどり着いた「悲しみの本質」写真はイメージです Photo:PIXTA

愛する夫を突然失った。もっと話を聞けたのではないか、あのとき別の選択ができたのではないか…。夫に先立たれた妻たちは、時間が経ったいまも自分を責め続けている。自身も夫をがんで亡くしている筆者が、2人の女性の胸のうちに迫った。※本稿は、ジャーナリストの河合真美江『喪の旅 愛しい人に出会い直す』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

仲睦まじい音楽家夫婦の生活は
夫の急逝で終わりを迎えた

 命はいつか終わる。その中でせいいっぱい生きるのが人生なのだと、わかってはいた。けれども、夫の急死はとてもではないが受けとめられなかった。

 二階堂和美さん(50)は僧侶でシンガー・ソングライター。広島県大竹市の浄土真宗本願寺派の寺院に生まれ育った。

 夫のガンジー西垣、こと二階堂敦さんはコントラバスを演奏するベーシストであり、住職だった。2022年3月末に体調を崩すと、あっという間もなく逝ってしまった。

 その3日前、いつものようにピアニストと3人でライブをした。2日前は「体が痛い」と言いつつも門徒さん宅へ月参りに。

 そしてその日、昼にはうどんも食べ、談笑した。だが、急変。救急搬送された。「胸が苦しい。体が痛い」ともがき苦しんだ。心臓マッサージもかなわなかった。

 8歳と4歳だった子どもたちに和美さんは言った。

「父さん、戻ってこないんだって。仏様になるんだよ。でも、ずっと一緒にいる。力を合わせてがんばっていこうね」

 あまりの混乱の中、自分にもそう言い聞かせるしかなかった。

 解剖したところ心筋炎だという。夫は54歳だった。