返答がわからなくても、わかること
探偵は2度質問をしていますが、その返答は私たちにはわかりません。
それでもわかることを見つけていかなくてはいけませんね。
では、探偵の1つ目の質問から。
“探偵「あなたたち2人のうち、どちらかは正直者か?」”
“Bは「はい」か「いいえ」で答えたが、探偵にはAの正体がわからなかった。”
ここがいきなり超重要です。
「Bの答えがわからないのだから、スルーしていいでしょ」
そう思いがちですが、このやりとりからわかることがあります。
Bの返答を聞いても、探偵にはAの正体がわからなかった
という事実です。
Bはなんと答えた?
探偵は「どちらかは正直者か?」と聞いています。
Bの返答内容はわかりませんが、「はい」か「いいえ」であったことはわかっています。
それぞれの返答によって探偵がわかることを考えてみましょう。
・Bが「いいえ」と答えていたら→2人とも嘘つき
ということは、もしBが「はい」と答えていたら……ちょっと待ってください。
Bが「いいえ」と答えていた場合は、2人とも嘘つき……?
そう、この問題には見落としてはいけない事実がありました。
問題文には、
Bが正直者であると書かれていません。
つまり、Bが「嘘つき」である可能性もあるのです。
考えられる「2人の正体」とは
Bの発言が嘘である可能性もあるため、Bの「はい」か「いいえ」の返答による場合分けでは不十分です。
そこで、2人の正体としてありえる可能性を洗い出してみましょう。
②Aは正直者、Bは嘘つき
③Aは嘘つき、Bは正直者
④Aは嘘つき、Bも嘘つき
それぞれの場合において、探偵の「どちらかは正直者か?」という質問に対してBはなんと答えるかを考えてみましょうか。
②Aは正直者、Bは嘘つき→B「いいえ」
③Aは嘘つき、Bは正直者→B「はい」
④Aは嘘つき、Bも嘘つき→B「はい」
こうして見ると、Bが「いいえ」と答えられるのは、
Aが正直者でBが嘘つきであるときだけです。
ということは、1つ目の質問でBが「いいえ」と答えていたら、探偵は「Aは正直者」だと見抜けたはずです。
しかし、探偵はAの正体を確定できなかった。
つまり1つ目の質問でBは「いいえ」ではなく「はい」と答えたのです。
2つ目の質問からわかること
1つ目の質問によって、「Aは正直者、Bは嘘つき」である可能性は消えました。
つまり2人の正体は、以下の3通りに絞られました。
②Aは正直者、Bは嘘つき←×
③Aは嘘つき、Bは正直者
④Aは嘘つき、Bも嘘つき
では、この状態で、探偵の2つ目の質問によってわかることは何か。
2つ目の質問はこうです。
“探偵「なあAよ、Bは本当のことを言ったのか?」”
“Aが「はい」か「いいえ」で答えると、探偵はAの正体がわかった。”
ここでも、Aの回答内容はわかりません。
そこで先ほどと同じく、残された3つのパターンにおいて、それぞれの場合にAがなんと答えるかを考えてみましょうか。
探偵は「Bは本当のことを言ったのか?」と尋ねていますが、これは要するに「Bは正直者か?」と聞いているのと同じですね。
それをふまえると、こうなります。
②Aは正直者、Bは嘘つき←×
③Aは嘘つき、Bは正直者→A「いいえ」
④Aは嘘つき、Bも嘘つき→A「はい」
もしAが「はい」と答えていたのなら、探偵はAの正体がパターン①と④のどちらなのかがわかりません。
しかし探偵は、この2つ目の質問でAの正体を見抜きました。
それができるのは、Aが「いいえ」と答えたときのみです。
Aが2つ目の質問に「いいえ」と答えたから、探偵は2人の正体がパターン③の「Aは嘘つき、Bは正直者」だとわかったのです。
なので、Aは嘘つきです。
Aは嘘つき
この問題から学べること
2人の返事がいっさいわからないにもかかわらず、ちゃんと真実を導けました。
こういうタイプの問題って、それぞれの発言から矛盾を導いて正体をあばいていくのが主流なのですが、矛盾ではなく、
「ただひとつに可能性を絞れる答えを探す」
という考え方が、なかなか新しい視点でした。
(本稿の問題は、シリーズ最新作『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋しています。本シリーズでは同様の「読むほどに賢くなる問題」を多数紹介しています)











