【解説】「タイムマシン」に乗って資産を見る
ここが非常に面白いポイントです。会計の世界では「取得原価主義」といって、基本的に資産は「買った時の値段」で帳簿(貸借対照表)に載せ続けるというルールがあります。
つまり、大正や昭和の初期に二束三文で買った土地が、現在の貨幣価値で数億円、数十億円になっていたとしても、決算書上の数字は当時のままなのです。まるでそこだけ時間が止まっているかのようです。
表面的なPBR(株価純資産倍率)だけを見ていると、この「時間のズレ」によって生まれた莫大な含み益を見落としてしまいます。数字の裏にある「歴史」を想像することが、隠れたお宝を見つける第一歩です。
宝の地図は「注記」に隠されている
では、私たちはどうやってその「現在の価値」を知ればよいのでしょうか。実は、企業が発行する有価証券報告書の中に、こっそりと答えが書いてあるケースが多いのです。
それが「賃貸等不動産関係の注記」という項目です。
ここには、帳簿上の価格だけでなく、「時価(今売ったらいくらになるか)」を開示することが義務付けられています。「帳簿価額1億円」と書いてあるのに、注記の時価を見ると「50億円」となっている――そんな驚くようなギャップが、日本株市場にはまだゴロゴロ転がっています。
誰も気づかないうちに「先回り」する醍醐味
立飛企業の事例のように、このギャップが埋まる瞬間(MBOやTOB、売却など)には、株価が修正されて大きな利益を生むことがあります。
多くの投資家やAIが、日々のニュースや目先の利益(PL)に一喜一憂している間に、あなたは静かに決算書の「注記」を読み込み、誰にも気づかれていない資産株(BS)を仕込んでおく。
派手さはありませんが、これほど理にかなった、そして個人投資家にとって有利な「負けない戦い方」はないのではないでしょうか。
※本稿は『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。









