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猫が鳴いたとき、「何か言いたいのかな」と思ったことはないだろうか?そんな疑問を解明すべく、これまで数々の愛猫家たちが猫語の翻訳に挑んできた。研究の結果、猫は母音と子音を使い分け、さらに水や肉などの単語も駆使しているというが…。猫語研究の250年を追う。※本稿は、動物行動学博士のサラ・ブラウン著、清水由貴子訳『ネコの言葉を科学する』(草思社)の一部を抜粋・編集したものです。
経済学者の何気ない日記が
猫の鳴き声研究の礎となった
人間というのは音声言語に明け暮れ、相手が人でなくても構わずしゃべりつづける。そして、猫がどんなことを「話して」いるのか知りたくて、その鳴き声にも関心を持つようになった。
歴史を遡れば、ナポリ出身の経済学者フェルディナンド・ガリアーニが1772年3月21日付の日記に猫の鳴き声について記している。
「目下、わが家の2匹の猫の習性について調べている。まったく新しい分野の科学的観察だ……オスとメスをそれぞれ近所の猫から隔離して注意深く観察した。信じられないかもしれないが、どちらも愛の期間には一度も“ミャオ”と鳴かなかった。つまり、“ミャオ”というのは愛の言葉ではなく、その場にいない猫に対する合図だということになる」
そうとは知らずに、ガリアーニは猫の鳴き声の観察において先駆者となったわけだ。
「ミャオ」という鳴き声の本当の目的が明らかにされたのは、猫に関する科学的研究が大がかりに行われるようになった数百年後のことだった。
その間に、猫にまつわる文献の世界では、その語学能力をめぐって迷走が始まった。







