録音を聞かせると、参加者は実際に猫を目の前にして視覚的な情報を得なくても、鳴き声の発せられた状況をある程度理解したが、かなり苦労した。
その後も同様の実験が行われたが、いずれも同じ結果だった。
つまり、猫の鳴き声は具体的な内容を伝えようとしているのではなく、ただ何かをしてもらいたくて人間の注意を引くためのものではないのか。ニカストロに言わせると、猫がミャオと鳴くのは「反応を特定するのではなく、単に引き出すため」だ。
ミャオと鳴いて人間の気を引くと、たいていの場合、続けて視覚または触覚のテクニックを用いて、いますぐ何をしてほしいのかを説明する。頭やわき腹を飼い主の脚にこすりつけてから餌の入っている棚にすり寄ったり、座って裏口のほうをじっと見つめたり。
犬についても、長年同じように考えられていた。だが、犬の鳴き声はその時々の状況によって響きが異なることが次第に明らかになる。たとえば、玄関のベルが鳴ったときは、遊んだり放っておかれたりするときよりも低く、鋭く、長く、繰り返し吠える。
飼い猫と長い時間を共にすれば
心を通わせることは可能?
では、猫の鳴き声は本当に意味がなくて、注意を引くためのものなのか。子猫のミーミーと同じように、成猫にもそれぞれ独自のミャオのレパートリーがある。それも人間が聞き分けるのに苦労する理由のひとつだ。
こうしたバリエーションは、人間の言語の方言のようだと主張する研究者もいる。だが、ニカストロはさらにくわしく調べ、犬と同様にそれほど単純ではなく、猫と過ごす時間が長くなるほど、鳴き声を聞き分ける力に磨きがかかることを発見した。
その後、リンカーン大学(イギリス)のサラ・エリスの研究チームも、録音された音声を用いて、飼い主は見知らぬ猫よりも自分の猫の鳴き声を聞き分けられることを証明した。
また、女性のほうがさまざまな鳴き声を区別できることを示した実験結果もある。これは猫に対する共感の程度が高いことと関連しているのかもしれない。
全体としては、猫の鳴き声を識別するのは難しいが不可能ではないというのがほぼ一致した意見だ。
飼い主が鳴き声に耳をかたむけ、さまざまな意味を理解できるようになるにつれ、飼い猫は鳴き声のバリエーションを増やすことを学習するかもしれない。







