まずは、喉をゴロゴロ鳴らす音、震え音、つぶやきなど、口を閉じたまま発する音。次は、口を開けてから徐々に閉じて出す声――ふだんよく聞く「ミャオ」や発情期のオスとメスの鳴き声、叫ぶような遠吠えなど。
そして最後は口を開けたままの鳴き声で、通常は攻撃、防御、激しい痛みを感じたときに発する。うなり声、低い威嚇の声、「シャー」、唾を飛ばすような音、交尾のあとのメスの叫び声、苦痛による金切り声などが当てはまる。
この分類が難しいのは、猫によって声の出し方が異なり、さらに1匹の猫にも無数のレパートリーがあるという点だ。その理由について、モエルクは「人間と違って、飼い猫には手本にすべき伝統的な言葉や正確な発音の基準がない」と的確に説明している。
以来、猫の鳴き声の分析はモエルクの研究に基づいて行われるようになった。モエルクに倣って音声学的に分類する、音質を調査する、行動状況に焦点を絞るなど、さまざまな方法がとられている。
猫の鳴き声はバラエティに富んでいるものの、猫どうしのやりとりでは、これらを駆使するのはおもに3種類の状況に限られる。
交尾相手を見つけるとき、喧嘩するとき、そして子猫と母猫がコミュニケーションをとるときだ。
最初の2つには、よく夜間に聞こえてくる耳をつんざくような鳴き声が含まれる。「ギャー」「ギャオウ」「ウーーー」などゾッとするような音を聞くと、外に飛び出して何ごとかと確かめたり、思わず耳をふさいだりしたくなるだろう。
人間とのコミュニケーションでは、母猫と子猫が交わすようなやさしい鳴き声が最も心に訴えかけるということを猫たちは本能的に理解しているにちがいない。
鳴き声を聞いただけでは
猫の気持ちは読み取れない
猫に耳をかたむけたときに、あの訴えかけるようなミャオという鳴き声から、何を望んでいるのか聞きとることができるだろうか。自分は猫の言いたいことがわかると思っている人は多い。
だが、科学的な実験を重ねた結果、はっきりと理解するには鳴き声以外の情報も必要だということがわかった。他に先駆けて実験を行ったニコラス・ニカストロは、5つの異なる状況で猫の鳴き声を録音した。
具体的には食べ物をねだるとき、ブラッシングを嫌がっているとき、かまってほしいとき、外に出たいとき、車に乗せられて緊張しているときだ。







