神聖な土俵の上で技を競う力士たちの中でも、安青錦は最も異色のスターだ。プロとして相撲を始めてわずか2年で、すでに横綱という不朽の地位まであと一歩のところまで迫っている。あと2場所の優勝を重ねれば、その称号を手にできるだろう。しかしそれは、安青錦についての最も驚くべき事実ではない。真の驚きは、彼の本名がダニーロ・ヤブグシシンであり、ウクライナ出身であることだ。「こんなに早く(ここまで)行けるとは思っていなかったですね」と、今では流ちょうな日本語を操る彼はインタビューで語った。「(この世界に)入ったからには、やっぱり一番上を目指さないとやっていく意味がないと感じていました」身長182センチメートル・体重140キログラムの安青錦は、土俵に上がる力士の中で最も大きいわけでも、最も伝統的な相撲教育を受けてきたわけでもない。ウクライナ中部の都市ヴィンニツャ(人口約35万人)で育ったダニーロ少年が初めて相撲に触れたのは6歳の時で、柔道の練習中だった。