昔、よく裏社会の人間に取材をしたが、「テレビ局にインタビューされたけど、よく知らないから実話ナックルズ(実話誌)の記事を話しておきました」なんてことを悪びれずに言う人が一定数いたものだ。
顔にはモザイク、名前も伏せられていて、しかも事件に関わっているような人間が、公共の電波で本当のことを言うメリットはどこにもない。ましてや、違法ビジネスに関わっているような人間ならば尚更だ。
もっと言ってしまうと、そういう嘘を平気でつける誠実さのかけらもない人だからこそ、裏社会で生きていけるのだ。マスコミで「報道」に関わる人の中には、親が犯罪者でもなく、有名大学を卒業した「良家の子女」も少なくない。だから、取材対象者の「盛った話」にコロッとダマされる。
「探偵!ナイトスクープ」に依頼をした小学6年生だって、制作スタッフ側の演出プランを受け入れて、「家事や育児で疲れた長男」という役割を演じてくれるのだ。
事件の関係者、犯罪組織メンバーが、カメラの前に立った時、「テレビが欲しがっているもの」を敏感に察知して、「それっぽい演技」をしてしまう、というのは容易に想像できよう。
メディアはどうしても作り手側の「作為」や「意図」が入るものだが、中でも映像メディアは「感情に訴える力」が強いので、巧みな演出によって「悪人」や「被害者」を簡単に生み出して、社会の憎悪や対立を煽ることができる。今回、「ヤングケアラー」という社会問題を印象操作で過剰に強調したのがいい例だ。
今回、一家の両親を口汚く罵り誹謗中傷していた人たちを見てもわかるように、我々はメディアにいとも簡単に操られ、誰かを攻撃するところがある。頭にカッと血が上っている時こそ「ところでこの話、誰かの演出じゃないの?」と冷静に立ち止まるべきではないか。








