こういう話をすると決まって「いや、それはバラエティ番組だからであって報道やドキュメンタリーではそんなことはしない」という反論があるが、この分野もしっかりとした調査報道や裏取りをしている人たちだけではない。

 週刊誌や雑誌で働いていたことがある人ならばわかると思うが、テレビから「今月の記事に出ていた○○を紹介してくれませんか」という問い合わせが非常に多い。自分たちで取材する時間も人員もないからだ。

 筆者も十数年前、詐欺や裏社会などをよく取材して記事を書いていたが、ほとんどのキー局の記者やディレクターからこの手の依頼を受けた。

 こちらとしては仕事になるわけでもないので断ってもいいのだが、知人の紹介であったり、同じメディアの仕事をしている仲間ということで、できる限り協力をしたものだ。

 そんなある日、取材力に定評のある硬派なニュース番組のVTRで、自分が紹介した違法ビジネスをしている人間が、モザイク付きでインタビューに答えていたのを見てビックリした。

 なんと、これまでの取材では聞いたことがないような犯罪の手口を語っていたのである。

「これは話を盛っているな」と思った私はすぐに本人を問いつめると、あっさり「捏造」を認めた。

 ディレクターから「もっと違う話はないですか」「こういう方面の犯罪には関わってないですか」などしつこく聞かれたので、ネットや実話誌で入手した情報を、さも自分が体験したように語ったというのである。彼はなんの悪びれもなく、笑いながら私にこう言った。

「なんか向こうもオンエアが近いとか言ってすごく焦っていたみたいで、かわいそうで。でも、たぶんあっちもわかってたんじゃないかな。ちょっと大袈裟に言ってくれとか、裏社会の人間っぽくしたいのでシャツのボタン外してください、とかいろいろ演技指導されましたから」

「報道」を名乗る人々が、そんないい加減な取材をしているわけがないと思うかもしれないが、こういう話は珍しくない。

 例えば、皆さんもニュースや報道番組で、「詐欺グループの主犯格が語った」とか「事件の被害者が激白」みたいなVTRを見るだろうが、あそこに登場する人たちの中で、テキトーなことを言っている人もいるのだ。