世界史の中で大きな業績を残した国や集団には、必ずといっていいほど器の大きなリーダーがいました。
長い歴史のある中国の皇帝の中で
もっとも優秀な名君・李世民の教え
ちなみに、世界史に登場するリーダーたちの中でも僕がとくに傑出した人物だと考えるのは、唐の第2代皇帝、太宗・李世民です。彼が在位した時代(627~649)は「貞観」という元号で呼ばれており、中国の長い歴史の中でもっとも国内が平和に治まった時代でした。
その太宗の言行録として編纂された『貞観政要』という本は、のちの中国の皇帝たちが帝王学を学ぶために愛読し、日本でも北条政子や明治天皇がそれに学んだといわれています。あらゆる組織のリーダーにとっての必読書といっていいでしょう。
太宗がリーダーとしてすぐれていると僕が思うのは、まず「越権行為」をしないことです。皇帝は絶大な権力を持っているので、「越権も何も、すべて自分の思うままに決められるのでは?」と思った人もいるかもしれません。
しかし、どんなに強い権力を持っていても、部下に「ここからここまでは自分で決めてよろしい」と権限を与えることはあります。任せたのですから、それについては口出しをせず、部下の決定にしたがわなければいけません。
また、太宗は「諫言」を受け入れるリーダーでした。諫言とは、部下が上司にダメ出しをすること。太宗はそれを嫌わないどころか、遠慮なしに自分のミスを諫める部下を積極的に登用しました。
部下に仕事を任せず自分勝手に権力をふるい、諫言する部下を遠ざけていると、リーダーはいずれ「裸の王様」になってしまいます。リーダーの命令を無条件で受け入れるイエスマンばかりの組織は、多様性を持つことができません。リーダーの色だけに染まった組織は、環境の変化に対応できず、新しいものを生み出す力も失います。
仕事を部下に任せられない上司は
「チーム」の力を引き出せない
しかし器の小さいリーダーには、仕事をある程度まで部下に任せたり、部下からの忠告を聞き入れたりする余裕がありません。だからリーダー自身の「個人商店」のような組織になってしまい、「チーム」としての力を発揮できないのです。
とはいえ、人の器の大きさはほとんど持って生まれたものなので、そう簡単には大きくなりません。ただし、器のサイズはそのままでも、容量を増やすことはできます。







