すべてがきちんと機能し、その役割を果たすことで、自動車も組織も正しく動きます。上司という役割を与えられたからといって、人間として「えらい」わけではないのは当然でしょう。

リーダーがうまく機能していれば
チーム全体の能力を上げられる

 では上司に求められる機能は何かといえば、「人をまとめる」ことと「方向を示す」ことの2つに集約されます。

 社会やビジネス環境の変化を見極めて、自分のチームが目指すべき方向を明らかにするのは、リーダーにしかできません。こればかりは、それぞれのメンバーの好き勝手に任せるわけにはいかないでしょう。『西遊記』でも、あのチームが目指した先は、三蔵法師が決めた天竺でした。

 目指す方向が定まったら、そちらに向かって進むために必要な仕事を、それに適したメンバーに任せるのがリーダーの役割。自分自身が最前線で活躍するのではなく、自分のチームが全体として最高のパフォーマンスを上げられるように仕向けるのが、上司に求められる機能なのです。

 こうしてリーダーの条件を知ると、あなたの上司とのつきあい方も変わってくるのではないでしょうか。任されたはずの仕事を「もう、おれが自分でやる!」と取り上げられたりすると、あなたは「やはり自分はまだまだダメだな……」と劣等感を抱いていたかもしれません。

 でも、それはその上司がチームのリーダーとしてうまく機能していない証拠。ダメなのは上司のほうだと思って、チーム全体のパフォーマンスを上げるよう淡々と自分の仕事に取り組めばいいのです。

 また、リーダーが人として立派である必要はないとわかれば、自分がその立場になったときに臆することもありません。自分を空っぽにして、ほかのメンバーの意見を受け入れながら、リーダーとしての「機能」を果たすことを心がければいいでしょう。

 太宗は、リーダーに「銅の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」の3つを持つことを説きました。このうち「人の鏡」は、すでにお話しした「諫言してくれる他人」のこと。「歴史の鏡」は、未来のことを想像するために「過去」の事例を学ぶことです。

 そして「銅の鏡」とは、チームのメンバーに見せる表情のこと。リーダーが元気に明るい表情で仕事をしていれば、チームのメンバーもそれを鏡に映したように、楽しそうに仕事をします。あわせて、褒め合うチーム風土をつくることです。それだけでも、チームのパフォーマンスは良くなるはずです。