先生からいじめられる理由を聞かれた西岡さんは、「何をやってもダメだから自分でもいじめられるのがわかる」と答えたそうです。そんな西岡さんに、恩師はこう熱弁を振るいました。

「それじゃダメだな。人間というのはすべからく1本の線で囲まれている。なんという名前だかわかるか?『なれま線』だ。人間はみんな夢があるが、いつの頃からかそれを忘れる。なれないのが見えてくる。いろんなことを考えて、できないことが増えていく。できないことが増えていくと自分の近くに『なれま線』が近づいてくる。その線が1本取り囲んで、そこから人間は動けなくなるんだ。西岡はその線が自分に近い人間だよ」

 人間はみんな一人一人、その人自身の陣地というものを持っており、「なれま線」で囲まれた自分の領土が陣地だというのが先生の教えでした。西岡さんは、自分の持つ領土が極端に狭く、「できない」「なれない」だらけの人間だったのです。

東大に2回落ちどん底の浪人生を
ドイツ旅行へ連れ出した恩師

「世の中にはその線を踏み越える人がいる。西岡、できないことを踏み越えてみろ」

 その手段として先生が提案したのが、東大へ行くことでした。今のままではいけないと思っていた西岡さんは、東大受験を決め、1日12時間の猛勉強をするようになります。

 現役時の東大受験は必死に勉強をしていたそうですが、残念ながら失敗。東大に固執して、引っ込みがつかなくなってしまったために1浪を決断しますが、現役時代と勉強法を変えなかったために、翌年、2度目も不合格を突きつけられます。

 どん底の気分だった彼は、けっきょくこの絶望を乗り越えて、2浪する決断をすることになります。実はその理由は、東大に行くことを勧めた先生に、ある日突然、ドイツに連れて行かれたことがきっかけでした。

 しかも先生は現地の空港に着いてすぐ、「俺は仕事があって明日まで家にいないから、勝手に宿に行って勝手に飯を食え!」と去って行ったそうです。