2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいい のか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容を、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

なぜ、意見を言ってはいけないと
「思わされて」いるのか?

 ビジネスの場で「自分の意見を言いなさい」と言われるとき、そこには(簡潔に)(わかりやすく)といったカッコ付きの条件が付与されていると感じることがしばしばあります。

 私たちはずっと、「タイパ」「コスパ」と言われ、「無駄なことはしてはいけない」と教え込まれてきました。

 ですが、その先に何が待ち受けていたでしょうか? 組織生産性が右肩上がり……なんて話はほぼ耳にしません。

 言いたいことは言えず、ちょっとした質問もできず、若手は無言で会社を去り、上司はハラスメントにおびえながら「罰ゲーム」のように管理職をこなす

「これを言っていいのかな」「あれは聞かないほうがいいかな」と疑心暗鬼になって、相手に率直に尋ねることなく、結果的に「決めつけ」が横行しているのが、多くの職場の現在地ではないかと思っています。

観察の達人!? コナンくん

 ここで唐突ですが、『名探偵コナン』のことを考えてみたいと思います。

 見た目は子ども、頭脳は大人のコナンくんが難事件を解決していく漫画ですが、主人公のコナンくんには、お決まりのセリフがあります。

「あれれ~? おっかしいぞ~!?」

 事件で手がかりになりそうなことがあったとき、あえてとぼけているように見せて、大人たちにこう知らせるのです。

 私は、組織で働く大人こそ、このコナンくんの振る舞いから学ぶことがあるように思っています(本気です)。

 コナンくんは過去のパターンやセオリーではなく、目の前のことをよく観察して、そこから仮説を立てます。その始まりはいつも、「あれれ~?」と、気づいたことを半分とぼけながら伝える振る舞いなのです。

 簡単そうに見えますが、いや、実際に簡単なことなのですが、なかなかビジネスの場では見慣れない光景でしょう。

 ですが私はクライアントと接するとき、あえて次のような指摘をすることがあります。

「あれ、さっきまで『イライラ』という言葉を使っていたのに、今、急に表現が変わりましたね?」
「あれ、さっきから何度も足を組み直してますね?」
「あれ、もうペットボトルの水が空っぽですか!」

 そうすると相手も、

「確かにそうですね。話しているうちに、本当は『イライラ』というより、部下からの反応がないのが寂しいのかもしれないなあと思って……」
「えっ、言われるまで気づきませんでした。厳しいことを指摘されるんじゃないかって、身構えていたのかもしれません」
「バレましたか? ちょっと緊張しちゃって……実は話したいことがあるんです」

 と、自分の気持ちを素直に明かしてくれることがあります。

 そのひとことがフックとなり、問題の根っこにがぜん近づいていくことができるのです。