2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

組織の違和感Photo: Adobe Stock

実は怒っていた、「できる」リーダー

 以前あるプロジェクトで、「めちゃくちゃ仕事ができる」と評判のリーダーと一緒に仕事をする機会があった。

 とても感じのいい人で、トラブルの対応力がずば抜けていた。想定外のことが起きたとき、彼女は淡々とやるべきことを判断して行動していく。

 だから「このリーダーがいればなんとかなる」という雰囲気があった。私も大船に乗ったつもりでいた。

 ただ少しさみしいのは、「私を頼ってくれない」ことだった。

「こんなトラブルが起きちゃった!どうしよう」と言ってくれたら一緒に考えるし、「この部分はお願い」と頼ってくれたら、私も頑張れるんだけどなぁ。

 そう思いつつ、リーダーが一人でガンガンこなしていくのを見ていたのだ(自分は自分の仕事を進めた)。

 プロジェクトが無事終了し、ほっとしていたときのこと。
 リーダーから長文のメールが届いた。

「あなたがちゃんとやらないから私が代わりにやりました。結果的に取引先に迷惑をかけたので反省してください」といった内容だ。

 周りに頼らず、一人で進めているのは、そうしたいのだと思っていた。

 しかし彼女は、「なぜ私だけがこんなに大変な思いをしているのか?」という怒りを溜めていたのだ。

 私の観察力が足りなかったのだろうが、怒っているとはまったく気づかなかった。

責任感が強い人ほど、人に頼れない

 そのリーダーは周りから高く評価されていて、責任感も強かったので、人を頼ることが難しかったのだろうと思う。「自分でやったほうが早い」というのもある。

 あなたの周りにもそういうリーダーがいないだろうか。

『組織の違和感』(ダイヤモンド社)の中で、組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏はこう指摘している。

職場のリーダーによくある問題として、「他のメンバーに仕事を振れない」ということがあります。役割分担したにもかかわらず、そのとおりに実行できないということも。
または、自分のチームにはこれが足りないと自覚していても、「それでも自分で何とかする」と無理をすることで不足を個人的に抱え込むケースもあります。

――『組織の違和感』p.165より

 どんなに仕事ができる人でも、一人で抱え込むのは辛いはずだ。あのときのリーダーには「気づかなくてごめんね」という気持ちがある。

 チームのメンバー側も、リーダーの状況を見て「何かできることはありませんか?」と聞くのがいいのだろうなと思う。

観察にもとづき、誰に何をどのくらい振ることができそうか考える

 同時に、やはりリーダーも変わる必要がある。

 一人で何でもできる人間なんていないのだから、もっとメンバーを頼るべきだ。

 勅使川原氏は、「他に頼れる人がいない」と言うリーダーに対して「メンバーの持ち味や武器を、どのくらいご存じですか? 周りは周りで、あなたを助けたいのに助け方がわからないという人もいらっしゃるんじゃないですか?」と聞くそうだ。

 チームを良くするため、そしてリーダー自身がつぶれてしまわないために、本気で「誰に何をどのくらい振ることができそうか」を考えなくてはならない。

 そのためにも「観察」が大切だ。

すべての力をひとりの人間が備えるのは無理だし、その必要もない。ただし、出発点となる「観察」というスキルだけは、全員が身につけるべきです。

――『組織の違和感』p.168より

 本書では観察のスキルを身につける方法が丁寧に書かれている。

 一人で仕事を抱え込みがちなリーダーや、そのメンバーにとって非常に役立つ内容だろう。

(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。