2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。発売直後に大重版となり、坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

組織の違和感Photo: Adobe Stock

嫌な空気が流れるミーティング

「私、おかしなこと言ってる?」

 以前お世話になった職場でのミーティング中、メンバーのKさんに助けを求められた。

 Kさんの話をリーダーが理解してくれず、「やれやれ」という顔をされたからだ。

「いえ、おかしくないと思います、理解できます」

 そう言おうとしたが、リーダーに「わかったからいいよ。この話はいいので次にいきましょう」と打ち切られてしまった。

 リーダーは絶対、わかっていない。というか、「どうでもいい」と思っているのが見て取れた。

 リーダーはこうだと思ったらガンガン進めていくタイプで、Kさんはチーム全員に気を配るタイプ。
 どちらもチームにとって必要なのだが、折り合いが悪かった。

 表面上はうまくやっているが、ときどき嫌な空気が流れるのだ。

簡易版ソーシャルスタイル診断

『組織の違和感』の中に、相手を知るための手がかりとして「ソーシャルスタイル診断」が紹介されている。これを見たときにリーダーとKさんのことが思い浮かんだ。

 なんというか、いろいろ腑に落ちるところがあった。

「ソーシャルスタイル診断」は、アメリカの産業心理学者デビッド・メリル氏が提唱するコミュニケーション理論のひとつで、本書にはその超簡易版が載っている。

 そのうちの一つをここに紹介しよう。

 次のような場面で、相手がとりがちな言動はA~Dのどれに近いと予想されるだろうか。

「リーダー会議」における行動で多いのは?
A 自分の意見を堂々と言う
B 盛り上がりそうなことを言う
C まずは聞き手に回る
D 様子見の後、淡々と意見を言う

――『組織の違和感』p.118-119より

 確実に、リーダーはAで、KさんはCだ。

 この診断で、その人のコミュニケーションのパターンを示すソーシャルスタイルがわかる(本書には他の設問もあるので、詳しくは本書のp.118-119を見てほしい)。

 自己開示が控えめか大胆か、他者への関心が強いか弱いかで次のような4象限になる。

組織の違和感『組織の違和感』(ダイヤモンド社)p.121より

 Aの「ドライバー」は主張がはっきりしており、まさにリーダータイプだ。独立心、競争心が強く、イエス、ノーが明確。

 Bの「エクスプレッシブ」は、ムードメーカーでみんなとワイワイ過ごすのが好きなタイプ。いわゆる「太鼓持ち」も得意。

 Cの「エミアブル」はチームワーカー。協働的で主役より脇役を好む。周りの人の気持ちに敏感で、相手の話をよく聞き、共感しようとする。日本人のおよそ6割強が当てはまると言われている。

 Dの「アナリティカル」は、形式や論理を重視するタイプ。人よりもモノやコトへの関心が強く、個人プレーが得意。ノリで進みそうなところでも流されず、ブレーキ役を担うことも多い。

重要なのは、うまく組み合わせること

 そして本書には、それぞれのタイプと周りとの「あるある」(相性)が解説されている。

職場で起きるトラブルが、先述した4類型の「組み合わせ(相性)」に端を発することは少なくありません。
(中略)
それぞれの相性を理解してしまえば、つべこべ論評するのではなく、あとは環境を調整すればいいだけの話です。個人を憎まず、トラブルを未然に防ぐこともできるし、トラブルを早期に解決することだってできます。

――『組織の違和感』p.129-130より

 4つの類型に良し悪しはなく、序列はない。うまく組み合わせて機能させていくのが大事なのである。

 その前提のうえで、チームのメンバーをマッピングし、対話していけば、それぞれの良さを活かしていくことができる。

 良いチームにしていくために、この「ソーシャルスタイル診断」は強力なツールだと感じた。

(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。