◆「正論」をぶつけるリーダーはもういらない? 部下が「この人のために」と動く共鳴の技術
部下が動かない、Z世代との距離感がつかめない……そんな悩みを解決するのが、ソフトバンク「汐留の母」と呼ばれた澤田清恵著『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)だ。生身のリーダーに求められる最強の武器は生成AIには代替できない「コミュ力(共感力)」。単なる同情ではなく、相手の視点を論理的に理解する「認知的共感」の技術を体系化した、悩める上司たちの「読むサプリ」だ。呼吸を合わせる基本から、自身の無意識を言語化する応用、さらには「飲み会の失敗事例」や「エース部下の退職」といった実例に基づく「しくじり」分析まで網羅。表面的なテクニックではなく、心・技・体を整え、信頼で組織を動かすための実践的ノウハウが詰まった決定版!
※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

なぜあなたの指示は部下に無視されるのか?「心理的安全性」を爆上げするリーダーの伝え方・ベスト1Photo: Adobe Stock

最強のリーダーが隠し持つ「土台」

組織のリーダーに求められるスキルとして、次の3つがよく挙げられます。

❶ビジョンを描き伝える「戦略スキル」
❷組織を支える「マネジメントスキル」
❸人を動かす「コミュニケーションスキル」

いずれも重要なスキルであり、リーダーとしてバランスよく備えておくべきですが、そのなかで一番の土台となるのが❸の「コミュニケーションスキル(コミュ力)」です。

「正論」が通じない最大の理由

なぜなら、どれだけ戦略の立案やマネジメントにたけていても、それをわかりやすく伝え、納得してもらえなければ、人は動かないからです。

人を動かすためのカギを握るのが、リーダーの伝え方、すなわち「コミュ力」なのです。

「命令」ではなく「共鳴」を生む

また、目標設定や進捗管理、仕事の割りふりといったマネジメント業務も、最終的には人と人とのやりとりです。「なぜこの仕事を任されたのか」「どこまでが自分の責任か」「困ったときに相談できるか」─こうした不安や疑問に丁寧に向き合い、説得ではなく、納得を得るには、日頃の信頼関係と対話の質が求められます。

やはりコミュ力が「要」となるのです。

【解説】生成AI全盛時代だからこそ際立つ「人間力」

これからの時代、生成AI(人工知能)の進化によって、戦略立案やデータ分析といった業務の多くは効率化されていくでしょう。しかし、どれほど技術が進歩しても、AIには決して代替できない領域があります。それが、生身の人間同士による「心の通ったコミュニケーション」です。

AIは論理的な正解を出すことは得意ですが、部下の感情の機微をくみ取り、心に火をともすような関わりはできません。リーダーが一人ひとりの背景や感情に「共感」し、寄り添う姿勢を見せることで初めて、部下は「この人のために頑張りたい」という意欲を持つようになります。

人間ならではの「共感力」こそが、これからのリーダーにとって最強の武器となるのです。

「心理的安全性」が成果を最大化する

「コミュ力(共感力)」を土台にした信頼関係は、チームに「心理的安全性」をもたらします。部下が上司の顔色をうかがうことなく、失敗を恐れずに挑戦したり、率直な意見を言い合えたりする環境は、イノベーションを生み出す土壌となります。

かつてのような上意下達の「命令型」リーダーシップでは、変化の激しい現代において組織の力は発揮しきれません。対話を通じて部下の納得感と自律性を引き出す「共感型」のアプローチこそが、個人のポテンシャルを開花させ、組織全体のパフォーマンスを最大化させるのです。

コミュ力は、特別な才能ではなく、意識とトレーニングで誰もが身につけられる「技術」です。まずは部下の声に耳を傾けることから、リーダーとしての新しい一歩を踏み出してみませんか?

※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。