2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容を、抜粋・再構成して特別公開する。
いきなり100点を目指すのではなく
「ほんとにうまくいんでしょうね?」と迫ってくる人にたまに出くわしますが、それが約束できたら苦労はありません。
うまくいったり、いかなかったりは当然組織につきものですが、そこで不貞腐れたり、諦めるのと、「学び」の機会をとらえて前を向いていくのとでは、大違い。
人事を尽くして天命を待つというより、やってみてダメなら、謝罪して訂正し、改善する――それこそ立派なことではないでしょうか。
良いコミュニケーションとは、互いの見え方の「訂正」のし合いとも言えるからです。
批評家の東浩紀さんは、「訂正する力」が大切だと言います。どんなに頭が良かろうが、経験が豊富だろうが、間違えることはある。そのときに、「ごめんね、間違ってたわ」と言えるかどうか。
人と人とは違うし、情勢も変わるし、わからないことは無限に発生しつづけます。
だから、お互いを否定はしない。否定はいらない。否定ではなく「訂正」すればいいと考えます。
「私もまだ正しい答えがわからなくて。だから一緒に考えてくれない? ぜひ、思いついたことを聞かせてほしい」
こんなふうに素直に言えるリーダーこそ、真の「優れたリーダー」ではないかと私は思います。
100%わかり合うことは無理、
それでも「訂正」し合うことはできる
答えをすべてわかっているふりをする。
自分の間違いを認めようとしない。
舐められてはいけないと誰の力も借りない。
そんな「優秀さの仮面」をかぶっているリーダーがいかに多いことか。
本当に組織のことを考えるならば、もっと軽やかに謝罪して、そして訂正すればいいと思うのです。
感謝は減らない
きっと、相手を認めたら「自分の何かが減る」と思わされているのでしょう。
「何か」というのは、価値とか、頑張ってきたこととか、権威といったものです。自分のポイントを相手にあげてしまうような感覚でしょうか。
ですが、相手にケチをつけ、相対的に自分を上げても、なんの意味もありません。
なぜなら、組織の中でいがみ合っていたとして、相手がそこにいるのは事実だし、ひとりでできることには限界があるし、何も生み出さないからです。
そんなゲームを延々とやりつづけているうちは、チームが前に進むことはありません。
感謝はいくらしても、減るものではない。
むしろ、感謝すればするほど自分も周りも働きやすくなる。
そう考えられたら、行動に移せるはずです。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太