相手が「楽しい、嬉しい気持ちになる」
一文を添えて

 ですからぜひチョコレートをプレゼントする相手が「楽しい、うれしい気持ちになる」一文を考えて添えましょう。

 ちなみに相手の立場に立ってプレゼント内容や渡し方を考えることは、贈る側の「社会脳」を高めることにもつながります。社会脳は加齢とともに低下しやすいのですが、バレンタインを通して贈る側・贈られる側、双方の脳に良い影響を与えるのです。

 その観点で熟年夫婦もまた、バレンタインデーを利用してプレゼントをするのは良いこと。お互いに認知症予防になるでしょう。

ポジティブな情動が
前頭葉の働きを高める

 先のリーディングスパンテストの結果のように、情動は高次認知機能に影響することが知られています。

中村賢史郎弁護士苧阪満里子(おさか・まりこ) 1979年京都大学大学院教育学研究科博士課程教育心理学専攻修了。教育学博士。大阪大学名誉教授、大阪大学先導的学際研究機構共生知能システム研究センター招聘教授。専門は認知神経心理学。著書に『高齢者の物忘れを測る』(新曜社)、『もの忘れの脳科学』(講談社ブルーバックス)、編著に『ワーキングメモリと人間の知性』(大阪大学出版会)など多数。

 加齢とともに衰えていくのは実は記憶力ではなく、ワーキングメモリといわれる脳の機能。ワーキングメモリは目標とする行動のために、必要な情報を覚えておく脳の働きです。電話したのに肝心の要件を言い忘れた、何のために2階に上がったのか思い出せないといった物忘れはワーキングメモリがうまく働いていなかったと考えられます。

 ポジティブな情動で報酬系機能を活性化させると、ワーキングメモリの働きに重要な前頭葉の働きが高まることが期待されます。

 褒め言葉などの報酬を脳が受け取ると、脳に良い影響を及ぼし、仕事の効率などを上げることにつながるでしょう。

 楽しいときには仕事がはかどるように感じられ、悲しい気持ちのときや腹立しいときには何をしてもうまくいかないと感じることがあると思いますが、それは実際に脳の働きが現れているのです。

 ですから熟年夫婦の場合でも、夫婦どちらからでもいいですからチョコレートにかこつけてメッセージを送りましょう。

 メッセージには「以前あなたが作ってくれた××はおいしかった」「二人で見た××の景色は素晴らしかったわね」など、普段なかなか言えない言葉があるといいですね。

 次回は、記憶力を回復させるために、日常でできる「行動」を紹介します。

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>>【第2回】「【物忘れがひどくなったとき】脳を活性化する「手軽にできる日常の習慣」とは?」は2月13日(金)に配信予定です

大阪大学名誉教授の苧阪満里子氏によると、年とともに「物忘れ」が多くなってきたとしても、「手軽にできる日常の習慣」で鍛えることができるといいます。