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バレンタインデーにチョコレートを渡す行為は、相手に好感を持ってもらえるのでしょうか。長年、「記憶の仕組み」について研究を重ねてきた大阪大学名誉教授で、大阪大学先導的学際研究機構共生知能システム研究センター招聘(しょうへい)教授の苧阪満里子氏は「ただチョコレートをプレゼントするだけでなく、脳科学的に相手に好印象を与える方法があります」と話します。好きな人だけでなく、熟年夫婦にも効果的であるという渡し方の秘策を聞きました。(取材・構成/ジャーナリスト 笹井恵里子)

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食べものをプレゼントする行為は
人間関係を良好にする

 バレンタインデーに誰かにチョコレートをプレゼントする――この行為によって気になる人に好感を持ってもらうことはできるでしょうか。私はできると思います。

 まず大前提として、食べ物をプレゼントする行為は男女間に限らず、人間関係を良好にすると考えられます。一般的に「ポジティブなイメージを持つもの」を他人にあげると、受け取る側の脳に“喜び”をもたらすことが分かっているからです。

 そのプロセスを説明しましょう。

 社会的な関わりで働く脳を「社会脳」といい、人間を含めた動物が行動するときに重要な役割があります。

 社会脳には報酬系が関連して、報酬を得ると脳の大脳基底核の中にある「黒質」から、神経伝達物質の一つであるドーパミンが分泌されます。これが線条体という部分に届くと、人に充足感や快感をもたらすのです。

 報酬には3種類あります。

1)生命維持のための食べ物などと関わる「生理的報酬」
2)毎日仕事をして金銭を得るなどの「学習的報酬」
3)自分と他者との関係によって得られるという高次な「社会的報酬」

相手に「生理的報酬」と
「社会的報酬」を与えている

 脳科学的に考えると、バレンタインデーにチョコレートをプレゼントする行為は、まず相手に「生理的報酬」を、そして目に見えない自己と他者の心のつながりである「社会的報酬」を与えているのです。

 そのため贈り物をされた側は、脳がそれらの報酬を得て、「うれしい」「幸せ」と感じるでしょう。すると贈り物をくれた人のことや、その渡されたシーンがより記憶に残りやすいのです。

 それではここで、さらに相手に好かれやすい効果的な渡し方を紹介します。