人工知能(AI)は私の脳をむしばんでいるのではないか。最初にそう思ったのは、息子のバスケットボールコーチについてメールを書いているときだった。私はコーチが連続してレッスンを休んでいるという苦情を地元のレクリエーションセンターに伝えたかった。フランス語で、だ。パリに住む米国人記者として、フランス語はかなり話せるようになっていたが、苦情のメールを書く作業はまだつらかった。生成AIのチャットGPTに英語で状況を入力すると、何秒もしないうちに、毅然(きぜん)としていて礼儀正しそうなフランス語のメールが表示された。私はいくつかの単語を変えた上でメールを送信した。程なくして私は、子どもたちの学校に送る複雑なフランス語のメールの下書きをチャットGPTに任せた。フランス語で書かれた長い財務資料はチャットGPTに要約を作らせた。メッセージアプリ「ワッツアップ」でフランス人の友人に送る、くだけたメッセージや絵文字などもチャットGPTに書かせるようになった。