2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
職場の飲み会幹事というプレッシャー
年度末には部署を異動する人や退職する人の送別会、新年度が始まれば新たなメンバーの歓迎会。その他、チームの親睦を深めるための飲み会など……。
昔に比べて「職場の飲み会」は減っているようだが、まったくないという職場は珍しいだろう。
ただ、当然ながらそういったイベントが好きな人もいれば、苦手な人もいる。
「行きたくないけれど、行かないとまずいのだろうか?」と悩む人もいるに違いない。
さらに苦手な人には大きな負担となるのが、「飲み会の幹事」だ。
「歓迎会の設定、よろしく」
「それって、仕事ですか……?」
私の友人は、先日「飲み会の幹事」を上司に依頼され、かなりプレッシャーに感じていた。
彼女は普段、職場の飲み会に参加していない。だが「幹事をするからには、行かなければならないのだろう」と腹をくくった。
友人は、幹事をやって良かったけれど…
友人の場合、飲み会幹事は負担ではあったものの、最終的には楽しくできたようだ。
普段は家族への遠慮があって参加していなかった職場の飲み会に参加する口実ができ、メンバーに感謝してもらえたし、仲が深まったという。
彼女に幹事を依頼した上司は、おそらく良い機会になることを想定していたのだろう。観察にもとづいて彼女に依頼したのだ。
しかし、観察することなしに、単に「飲み会の幹事くらいやっておいたほうがいいよ」というケースは危険である。
実際、幹事はとても気を遣う役割だ。ストレスを溜め、「こんな職場はいやだ」と退職がちらつく人さえいるかもしれない。
飲み会への参加強制で退職を検討
組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏は『組織の違和感』(ダイヤモンド社)の中で、毎日新聞の記事(ため息や舌打ち、飲み会強制……職場のグレーゾーンハラスメントの実態)を参照しながら、「社外の飲み会や設定への参加強制」を受けた人のうち、実に7割近くが退職を検討したことがあることを指摘している。
しかも、これらの「グレーゾーンハラスメント」をした自覚のある人の6割が「よかれと思っての行動」だったということだ。
そして、こう述べている。
最近は本当に、コミュニケーションにも「こうすべき」という正解がある、という風潮が強くなっているような気がします。
(中略)
しかし私は、そもそもコミュニケーションというものは「七変化」であるべきだと思っています。
――『組織の違和感』p.206より
これは大事な視点ではないだろうか。
「職場の飲み会には参加すべき」
「幹事を経験するべき」
「それができないのはコミュ力が低いからだ」
そんなふうに関係性の問題を相手のコミュ力の問題にすりかえても、まったく職場は良くならない。
相手を観察し、相手に伝わるように振る舞いを変えるほうが、よっぽど職場が良くなるのだ。コミュニケーションは七変化であることを覚えておきたい。
(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)
小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太