「肯定してくれるAI」と
「摩擦のある人間関係」
メンタルヘルスの観点から見れば、AIには大きな利点があります。AIは24時間いつでも相談に乗ってくれますし、裏切ったり、騙したりすることもありません。人間関係特有のドロドロとした感情に疲れた時、常に肯定し、安定したレスポンスをくれるAIは、心の避難所として非常に優秀です。
一方で、AIは人間のように耳の痛くなるような「苦言」を呈することはあまりありません。その結果、本気で反省したり、葛藤の中で成長したりする機会が失われる懸念はあります。漢字を書かなくなって忘れてしまったように、使わない能力は退化していくものです。
しかし、だからといって人間関係が完全に不要になるわけではありません。AIが普及すればするほど、逆に「生身の人間」の温かみや価値が再認識される局面も必ず出てくるはずです。
テクノロジーに飲み込まれないための「自分軸」
インターネットやスマートフォンが登場した際も、「これで人間はダメになる」と危惧された面があります。しかし、私たちはそれらのツールを生活に組み込み、バランスを取りながら共存しています。結局のところ、どんなに便利なツールが現れても、人間はわざわざ自らを不幸にする道を選び続けることはないでしょう。
重要なのは、テクノロジーに飲み込まれないことです。「自分が納得して使っているか」「主導権は自分にあるか」という「自分軸」を持つことが求められます。
AIという強力なツールを前にしても、過度に恐れる必要はありません。技術の発展は基本的には喜ばしいことです。世の中や人間は、環境に合わせてバランスを調整し、適応していく力を持っています。AIと共存しながら、私たちがどのように「人間らしさ」を保っていくのか、その過程こそがこれからの時代の鍵となるでしょう。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。






