さらに画廊を出ようとした時、ジョンは別の展示台にのっているリンゴを手に取った。200ポンドの値札を見るとまた笑みを浮かべ、一口かじって戻した。
ヨーコの素っ気ない態度は
狙いすましたものだったのか?
ジョンもヨーコも、この時、一目で惹かれあったという説もある。
『ジョン・レノン 運命をたどる ヒーローはなぜ撃たれたのか』(青木冨貴子、講談社)
ダンバーはジョンが帰ると「あれが誰だったかわかったのか」とヨーコに訊ねた。「ジョンとか言っていたわね」とヨーコは答えた。ダンバーが「あれがレノンだよ。ビートルズの」と言うと、ヨーコは初めて驚いた顔をした。
2人が出会ったのははしごに登ってYESを見つけたときだったか、釘をハンマーで打ち込んだつもりになったときだったか、あるいは200ポンドの値札のついたリンゴをかじって戻した時だったか。
一瞬のうちに、同じユーモアが通じる相手であることを感じた瞬間がいつだったか本人たち以外にはわからない。
ヨーコはジョンが個展に来るよう仕組んだのだろうか。それでも顔を知らなかったのだろうか。本当のことはジョンとヨーコにしかわからないだろう。その2人にしても月日が経つうちに記憶している内容が変わってしまうことさえある。
ジョン・レノンとヨーコに関してはさまざまな伝説や定説が一人歩きして真実を見極めることが実に難しい。確かなことは、2人が出会い、文通をするようになって、ジョンがヨーコの送ってきた著書『グレープ・フルーツ』を読むようになり、ついには結ばれたことだ。







