森の中の男性写真はイメージです Photo:PIXTA

太陽光に含まれる波長360~400nmの紫色の光「バイオレットライト」は、近視の進行抑制や睡眠の質改善、うつ病の予防につながる重要な光。バイオレットライトの恩恵を受けるには、屋外で太陽の光を浴びなければならないが、現代人の多くは室内時間が増えており、慢性的なバイオレットライト不足に陥っているという。そこで、近視やドライアイの研究を行う慶應義塾大学名誉教授の著者が、日常のなかでバイオレットライトを効果的に浴びる方法を伝授する。※本稿は、坪田一男『「外にいる時間」があなたの健康寿命を決める』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。

1日2時間外にいれば
子供たちは近視になりにくい

 現代は、普通に生活しているだけで、外にいる時間が減ってしまいます。運動と一緒ですね。運動を能動的にしようと思わない限り、運動しなくて済んでしまう。

 だから、まず外に行くことが重要なのですが、実践するとなると、どうしたらいいのでしょう。

 そもそも、どれくらいの時間を外で過ごせばいいかというと、1日2時間がひとつの目安となります。これは近年の近視研究から出てきた数字です。子供たちが1日2時間外にいれば、近視になりにくいことが疫学的にわかっているのです。

 本当はもっと長くいたほうがいいのかもしれませんが、とりあえず2時間を目標にしてください。

朝起きたらカーテンだけでなく
窓も開けて太陽光を浴びる

 最初に、朝起きたらまずカーテンを開けて、太陽光を浴びることを日課にします。

 これで毎日、太陽光を浴びることができるわけですが、はたしてそれだけで良かったでしょうか?

「あれ、おかしいんじゃないの?カーテンを開けても、窓を開けないとバイオレットライトって入ってこないんじゃない?」

「今の窓ガラスって、バイオレットライトを通さないんでしょ?」

 そう気づかれるかもしれません。

 はい、その通りです。カーテンを開けただけではバイオレットライトは入ってこないのです。バイオレットライトは、窓ガラスを通らないからでしたね。

 ですから、朝起きたら「まず窓を開ける」が正解です。寒い日や雨の日だったりするとなかなかやりにくいですけれどね。

 だから、できる日だけでもいいので、ぜひ大きく窓を開け放ってください。そして、朝の光を浴びること。

 これが、太陽光と一緒に生活する第一歩となります。

外にいても下を向いていたら効果なし
ちょっとだけ「上を向いて歩こう」

 我々の世代は、坂本九の「上を向いて歩こう」という歌を覚えています。これは夜の道を歩いて星を見上げる設定になっていますが、バイオレットライトを取り入れるために上を向いて歩くには、昼でなければなりません。