バローの実店舗が「鮭・マグロ」を強化するワケ

 宅配でよく利用されるのは食品・生鮮食品・化粧品で、いずれもドラッグストアが急速にスーパー化しているカテゴリーである。 スーパー各社は顧客をドラッグストアに奪われつつあるが、ネットスーパーはその奪還手段となり得る。 

 ネットスーパーが拡大する中で、実店舗は顧客の減少・流出をいかに食い止めるかが大きな課題となっている。

 これを考えるうえで参考になるのが、東海地方を中心に12都府県に展開するスーパーマーケット・バローの戦略である。
 
 バローは鮮魚部門において、日本人に人気の高い「鮭・マグロ」に特化した売り場づくりを進めている。
 
 これまで、スーパー企業の多くが注力してきたのは、粗利が高く、時代のニーズにも合致していた惣菜部門だった。しかし現在、惣菜はレッドオーシャン化が進み、人手不足により「出来立て提供」という強みも維持が難しくなっている。そのため各社は、店舗内調理の効率化を進めつつ、次なる強化領域として鮮魚部門が注目されているのだ。

 鮮魚は教育コスト・技能依存度・ロス管理など参入障壁が極めて高く、短期的な成果は出にくいが、競争優位が長く持続する。また、粗利率は28.3%と高く、惣菜に次ぐ収益源となり得るのだ。

 バローは「鮭・マグロ」に特化することによって、ロスを最小限に抑え、効率的な運営を実現しているのだ。また、魚を丸ごと販売することで、加工ロスを極限まで減らす取り組みも行っている。

 マグロの赤色は、時間とともに色褪せやすく、配送段階で鮮度感が落ちるため、売り場ほどの鮮やかさを保てない。そして実店舗では顧客が自ら商品を持ち帰るため、配送費もかからず、鮮度の魅力をそのまま提供できる。宅配では、柵刺しでの提供は出来たとしても、顧客の要望に合わせてカスタマイズは出来ない。

 昨今、鮮魚部門の中でも「寿司」は売り上げ減少がささやかれている。しかしバローのようにSKUを絞り込み、日本人が好むとされる「鮭・マグロ」に特化し、売り場一面にし、鮮度を訴求することも肝要だ。

 ヤオコーの川野澄人社長は、ネットスーパーが台頭してくるであろう今後の状況を理解しつつ 「当社は毎日来店していただくためのフォーマットだ。そのためにいかに鮮度を上げ、お客さまの価格ニーズに応えるか。生鮮や惣菜は単品ではなくカテゴリー単位で魅力を高め、売り場変化への期待で集客していく」と言う。

 この言葉通り、今後は、対ネットスーパーも見据えて、売り場をどのように展開していくか、生き残りをかけて考える時期に突入している。いずれにしても、実店舗、ネットスーパーは、新たなるステージに駆け上っているのだ。