たとえば、「さっきの授業でここが大事だって言っていたな」「この単語、後でまた出るかもしれないから覚えておこう」といったちょっとした思考こそが、アクティブリコールのはじまりです。
意識していなくても、脳が“再生”しようとするこの瞬間が、記憶の定着にはとても大事です。ところが、現代の生活環境では、この“自然に思い出す時間”が極端に減ってきています。
『なぜ勉強すればするほど頭が悪くなるのか?』(西岡壱誠、星海社新書)
昔は、スマホもなければ動画もなく、散歩中や移動中に自然と思考をめぐらせる時間があり、何気ない場面で「あのときの授業、あれってどういう意味だったんだろう」と考えることもできました。
しかし、今はどうでしょう?街を歩いているとき、人はイヤホンで音楽を聞き、通学中はSNSを眺め、ちょっとした待ち時間にもスマホをいじって情報を消費しています。「何もしていない時間」がほとんど存在しなくなっているのです。
だからこそ、あえて“考える時間”を作るアクティブリコールが必要となるわけです。
アクティブリコールをうまく生活に取り入れるためには、こうした「余白の時間」を意識的に作っていくことが大切です。たとえば、スマホをポケットにしまって5分だけぼーっとしてみる、帰り道の電車で一度だけ画面を閉じて頭の中で今日の授業を整理してみる──そんな小さな習慣が、アクティブリコールのハードルを下げ、学びの質を大きく引き上げてくれるのです。







