本を読む子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

世の中にはさまざまな勉強法がありますが、一般的なのは、読んだ内容をノートに書き出してまとめるというインプットが、メインの方法。しかし、アメリカ医師試験をトップ1%で合格した米国内科専門医の安川康介氏は、勉強はアウトプットに主軸を置くべきだといいます。安川氏が導き出した最高の勉強法とは何なのか。安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集して紹介します。

多くの方が持つ勉強のイメージ

 多くの人は勉強に対して、次のようなインプット中心のイメージを持っているのではないでしょうか。

 例えば、ある教科書を100ページ読んだAさんと200ページ読んだBさんがいたとします。「どちらの人が多く学びましたか?」と聞かれたら、200ページ読んだBさんと答える人のほうが多いのではないでしょうか。

 インプットの量で、学習を評価してしまうこうした考え方は、とても一般的です。できるだけ多くの文章を読む、できるだけたくさん講義を聴く、できるだけインプットの量やそのための時間を増やすことが良い勉強法だと考えている人が多いかもしれません。

 しかし、このインプットだけしか行わない勉強方法というのは、科学的には効率が悪いことがわかっています。

実際に効果的な勉強のイメージ

 では、科学的に効果が高いとされている勉強とは、どのようなものでしょうか。

 勉強した内容を思い出す、記憶から取り出す作業(例えば、覚えたことを白紙に書き出したり、練習問題を解いたり、テストを受けたりすること)について、すでに覚えたことを単に確認する作業であるとか、学習の効果を判定するための作業であると勘違いしている人がいます。

 けれども、学習に関する数多くの研究から、思い出す作業、アウトプットすることこそが、記憶を長期に定着させる効果的な勉強法だということがわかっています。

 アクティブリコール(勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと)のことを「ただの暗記」なのではないかと思う人もいるかもしれませんが、アクティブリコールには教材の内容について直接聞く問題だけでなく、推論など、より深い理解が必要な応用問題に対しても効果があります。

勉強の本当の効果は、勉強している本人には実感しにくい

 調査では、勉強をした直後、1週間後にどれくらい自分が内容を覚えていると思うかを学生に予想してもらいました。一番内容を覚えていると予想したのは4セッションを通常通りに勉強したグループで、アクティブリコールをしたグループは、自分たちはそれほど覚えていないだろうと予想しました。

 つまり、アクティブリコールをしたグループは、勉強直後は、他の勉強方法で勉強した人たちに比べて一番自信がなかったのです。実際は一番効果がなさそうだと評価されたアクティブリコールが、一番効果があったというわけです。