収益力の差は歴然としている(図表5-6)。

図表5-6:サムスン電子と台湾・TSMCの平均資本利益率の比較同書より転載 拡大画像表示

 サムスン電子が半導体市場を切り拓く突破口として期待を寄せていたのが、ファウンドリー事業であった。ファウンドリーは、基本的に顧客から注文を受けてから生産するので、メモリー系半導体が注文の前に需要を見込んで生産を先行させるのとは異なり、在庫水準を低く保つことができ、収益力が高い。

1年先のスケジュールが埋まる
TSMCの圧倒的な受注数

 台湾・TSMCは2030年までに米国・アリゾナ州に第1、第2、第3工場を建設する計画であり、総額650億ドル以上を投資する。米国政府は、半導体産業の振興を目的としたCHIPS法(米国内に半導体産業の振興を目的とした法律)により、TSMCに対して66億ドルの補助金を提供する。ただしトランプ政権下で補助金は白紙となった。

 TSMCの第1工場(4ナノ工程)は2025年上半期に稼働し、第2工場(3および2ナノ工程)は2028年中、第3工場(2ナノおよびそれ以上の微細工程)は2030年末の生産を計画している。

 2025年3月、TSMCは米国における半導体事業への投資を1000億ドル追加すると発表した。追加投資には3つの新半導体製造工場、2つの先進パッケージング施設、研究開発チームセンター1つが含まれる。これによりTSMCの対米投資額は、アリゾナ州の650億ドルに1000億ドルを加えた1650億ドルとなる。

 TSMCは欧州への投資も明らかにしている。2023年8月、ドイツ・ザクセン州ドレスデンに合弁会社(出資比率:TSMC70%、ボッシュ、インフィニオン、NX各10%)を設立し、車両用半導体工場(投資規模:100億ユーロ)の建設を決定している。

 さらにTSMCは日本政府の支援を得て、2024年2月、熊本県菊陽町に第1工場(投資額86億ドル)を完成させ、年末には量産化に入った。日本政府はこの第1工場に4760億円、そして2027年末稼働予定の第2工場(同139億ドル)には7320億円の補助金を与えるとしている。両工場合わせて1兆2000億円を上回る補助金である。