TSMCは現在1000社以上の顧客を有している。主な顧客は、アップル、インテル、クアルコム、エヌビディア、テスラ、AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)などである。これら半導体設計専門企業から注文を受けて、前工程のファウンドリーと後工程のパッケージングを行っている。受注は2027年以降まで満杯と伝えられる。
中国の後発メーカーは
サムスンの顧客を奪いにいく
サムスン電子のファウンドリー事業の不安は払拭できない。ライバルはTSMCではなく、SMIC(中国・中芯国際集成電路製造、本社:上海)やUMC(台湾・聯華電子)が、足元に迫っているからだ。
『揺らぐサムスン共和国:米中対立の狭間で苦悩する巨大財閥』(石田 賢、文眞堂)
中国の後発メーカーSMICの台頭は、TSMCの市場を狙うのではなく、サムスン電子のファウンドリー顧客を切り崩す公算が大である。SMICは、中国政府の補助金と急増する内需の追い風に、ファウンドリー投資を拡大する計画である。SMICの世界シェアは、2025年第1四半期基準で、サムスン電子と1.7ポイント差まで迫っている。
第4位の台湾UMCは、2025年4月の現地報道によると、第5位の米国グローバルファウンドリーズとの合併交渉に入ったと伝えられた。両社の合併が成立すると、世界シェアは8.9%になり、サムスン電子を抜き去り、TSMCに次ぐ第2位へ躍進する。
また未知数であるが、米国政府の支援を受けたインテルの新規参入も無視できない。2030年にサムスン電子を追い抜き、世界ファウンドリー市場で第2位になる目標を掲げている。
ファウンドリー事業は、断トツのTSMCを除く下位メーカーが乱立しており、まさに生き馬の目を抜く局面に入っている。サムスン電子は、TSMCのような主要顧客を抱えておらず、顧客のきめ細かな要望に合わせて製品化するのを得意としていない。しかも中国企業と米国企業に足元を脅かされる状況になっている。
サムスン電子が、ファウンドリー事業の世界シェアをズルズルと過去最低を更新している状態では、現状でさえ赤字続きであることから推し測ると、さらに赤字が膨らむとみて間違いない。







