さて、ここからは私のtrainの体験から、さらに「動き」のニュアンスの違いをお伝えしよう。

「毎日trainに乗る」と言ったらアメリカ人が絶句した理由『鉄道で親しむ英語』野田隆(交通新聞社)

 trainといえば、多くの日本人にとって日常的に乗車する列車や電車のことであろうが、アメリカ人にとってはイメージが異なる。ニューヨークあたりの東部の都会に住んでいる人は別として、中西部から西部にかけて暮らしているアメリカ人にとって、trainとは長大な編成の貨物列車(freight train)を意味する。アメリカは、知る人ぞ知る貨物列車大国なのだ。

 ずいぶん前の話になるけれど、アムトラック(Amtrak、全米鉄道旅客公社)の旅客列車に乗っていたら、近くに座っていたアメリカ人が、「俺は、この列車に乗るのは3回目だ。お前は初めてか?」と話しかけてきた。「そうです。日本からやってきた旅行者ですから」と応えると、日本ではtrainに乗るのか?とさらに訊いてきた。

「日本では毎日trainに乗ってるよ」と話すと、「every day?(毎日だって?)」と信じられないというジェスチャーをして驚いた。「私だけではなく、周りの人はみんな毎日乗ってるよ」と話すと、腰を抜かさんばかりだった。

 普段、列車には乗らないアメリカ社会の一端を垣間見るようだったが、「人が乗る列車」をわざわざパッセンジャー・トレイン(passenger train)と呼んで区別するほど。つまり、旅客列車に乗ることは、クルーズ船に乗るような「特別の」体験というニュアンスが含まれていることがあるのだ。