人生のすべてを使っても見尽くせない情報が毎瞬生成されている現代では、人の注目(アテンション)が貴石を上回るほどの稀少資源になっています。アテンションを獲得することができれば、それはそのまま換金可能です。火をつけて回ると儲かるのです。そのため、多くの炎上が人為的に引き起こされ、大火へ育てるための燃料を浴びせられています。
事業者もこの状況に加担していると考えていいでしょう。
Xに限らず伝播させることを主眼に設計されているサービス(YouTubeやTikTok、インスタグラム等)は、まさに世界を分け隔てなく結びます。こうした拡散系サービス(Amplification-Oriented Services:AOSとしておきます)の存在価値はその利用者数と拡散性、アテンション獲得能力です。SNSの力の源泉がリテンション(維持)にあるのと対照的です。そして、そのアテンションを得るよく知られた、極めて効率的なやり方は人の怒りです。
彼らが表立って認めることはありませんが、アテンションを獲得するために怒りを利用するテクニックは年々進歩・拡大しています。読者も、人をイラッとさせる、心をざわつかせる投稿を目にする機会が増えたと感じたことはないでしょうか。
インターネット黎明期から人気の高い、猫に関するコンテンツなども健在ですが、我を忘れてリンクをクリックさせたり、後先考えずにリポストを決行させたりするのは何よりも怒りの感情です。それを躊躇せず利用すべきだと判断したのでしょう。
これらの拡散系サービスは、炎上を起こすほど、皆の怒りが集まるほど、利益が拡大するビジネスモデルを持っています。
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