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眉をひそめざるを得ないひどい行動をネット上で目にし、義憤にかられたことのある人は多いだろう。法やマナーを守らない者への怒りは当然なのではあるが、SNSではその「制裁」が、ときに過剰になるので注意が必要だ。SNSでの炎上、そして晒し行為やネットリンチは、個人のマナーやリテラシーだけでは防ぎきれない「構造」によって加速していく。さまざまな要素が複合的に絡み合い、晒し叩きは無限に肥大化する。本稿では、その過熱を生むメカニズムを段階ごとに読み解いていく。(フリーライター 武藤弘樹)
ネットで「晒された」高校生の集団万引き
12月上旬、バリ島で起こった日本人高校生集団万引きは、犯行の様子を収めた動画が出回ると話題になって、あっという間に犯人グループが通う高校が突き止められた。
学校側は謝罪とともに個人の特定をしないように呼びかけているが、ネット上ではさらなる特定を進めようとする動きも確認される。
昨今は晒されたのちに炎上が過熱して顔、実名、住所などが特定されるに至ることが多い。バリ島万引きグループは、少なくとも現時点では顔、高校が晒されて、それはデジタルタトゥーとして一生残ることになる。
悪いことをしたのだから制裁を受けて当然、という考え方もあるが、その制裁がやり過ぎとなり、再起不能になるくらい大きなダメージを与えているように思える点と、制裁の度が途中から誰もコントロールできなくなっている点、この2つに危うさがある。
こうした晒し叩きが過熱するのは、「ネットリテラシーの向上」といった個々人の努力とは関係のないところにも原因がある。それは何かというと人間の心理やSNSの性質であり、構造的な問題でもあるのである。
当記事では晒しの是非については一旦置いて、「晒し叩きが過熱する構造」について解説したい。







