◆なぜ「どうでもいい」と思える人が最後に勝つのか?
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

【精神科医が教える】他人の評価を気にしすぎて疲れる人が見落としていること…プレッシャーを味方につける究極の習慣Photo: Adobe Stock

究極の「自分軸」を持つ金メダリスト

2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのフィギュアスケート女子シングルで金メダルを獲得したのは、アメリカ合衆国のアリサ・リュウ(Alysa Liu)選手でした。

彼女は、ショートプログラム後のインタビューで、「メダル? 私にメダルはいらない。ただここにいたいだけ。ただ、この瞬間にいたい。そして、みんなに私の次の演技を見てほしいだけなの」と話したそうです。私は「これはすごい、究極の自分軸だ」と感じました。

彼女にとっては「メダルはどうでもよくて、自分の演技を見てほしい。自分が作り上げた作品を見てくれればいいので、メダルはいりません」ということ。自分がやりたいことをやり、自分が納得したことをやる。他人の評価はどうでもよい、ということなのです。

オリンピックや大きな大会のプレッシャーに対する、最強のレジリエンス(抵抗力・回復力)を身につけている状態だと言えます。

他人軸の落とし穴
評価を気にすると苦しくなる

私は普段から、「自分軸は大切だ」とお話ししています。他人の顔色をうかがって動くのではなく、自分が納得した言動をするのが自分軸です。その割合をどんどん増やしていくと、達成感が増し、自分のやりたいことが明確になって人生が幸せになります。

逆に、他人の顔色ばかりをうかがっていると、他人がどう思うかはコントロールできないため、常に人に合わせることになってしまいます。結果としてプレッシャーやストレスも多くなり、ろくなことになりません。

もちろん自分軸と他人軸の両方が存在しますが、「なるべく自分軸の行動を増やしなさい」と私は幾度となくお伝えしてきました。

「メダルはいらない」と言い切れる強さ

「自分が作り上げた演技を見てほしい」「その時点ですでに満足している」と言える人は、もし転んでしまったらどうしようとか、期待を背負ってメダルを取らなきゃといったプレッシャーとは無縁です。なぜなら、そうしたプレッシャーはすべて「他人軸」だからです。

メダルの色は他人が決めるもの。もちろん評価基準があり、それを目標に頑張るわけですが、実力のある人が必ず順番にもらえるものではありません。その時のパフォーマンスや審査基準、さらには人為的な要素も絡んできます。それに合わせて動くというのは、まさに他人軸そのものです。

それに対して、「自分のやりたいものを出すので、もうどうでもいい。とにかく私の演技を見てください」とまで思えたら、もう怖いものはありません。このメンタリティがあったからこそ、のびのびと彼女らしい世界観を表現できたのだと思います。

他人の評価を手放すと
人生はもっと楽しめる

やはり自分軸は本当に大切です。ある習い事をしている知人と話したときのこと。その人は「今度は賞をとりたい。評価されることが私の喜びだ」と頑張っていました。しかし、その世界はスポーツ以上に審査員の人為的な要素やしがらみが多く、結果がどうなるかわからない、つまり他人軸の要素が非常に強い世界でした。

結果として、以前その大会に出た際、思うような評価を得られずに落ち込んでしまったそうです。「評価されることをモチベーションにするのはいいけれど、結果はどうなるかわからないから、結果は脇に置いておいたほうが楽しめるよ」と私は伝えました。そして「あなたが自分の世界をきちんと表現できたら、それでいいじゃない」と言うと、その人は少し明るい顔になってくれました。

目指すべき究極の「自分軸」

最初から他人の評価を気にしなくていいのです。もし皆さんがオリンピックに出たとして、「メダルはいらない」と心から思ってその場にいられる人がどれだけいるでしょうか。なかなかいないはずです。

そこまでの境地に達すると、どう生きても人生は楽しいし、好きなものが嫌いになることもなく、強くタフでいられるということです。いきなりそうなるのは難しいかもしれませんが、目指すべきはそこだということを意識してほしいのです。「こうなりたいな」とイメージするだけでも、少しずつ近づくことができます。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。