日本成長戦略本部の初会合で発言する高市早苗首相日本成長戦略本部の初会合で発言する高市早苗首相=2025年11月4日、首相官邸 Photo:SANKEI

17の戦略分野への財政支援
AI時代の不確実性を織り込めず

 高市早苗首相は、2月20日の施政方針演説で、「強い経済・強い日本」を目指した政策転換の本丸は「責任ある積極財政」だと、官民協調による「危機管理・成長投資」促進を掲げた。

 3月には先端技術などを対象とする官民投資ロードマップを提示し、17の戦略分野への具体的な支援を打ち出すとしている。

 財政出動と産業政策を組み合わせることによって、日本経済の再活性化を図るという方向づけだ。これまでの日本の成長戦略に欠けていた「投資志向」を明確にしたものとして、評価する向きもあるだろう。

 しかし、いま必要とされるのは、特定分野への投資を政策的に増やすことではない。政府と民間の役割分担をどのように再設計するかだ。その観点からすれば、この政策が正しい答えなのかどうかは大いに疑問だ。

 なぜなら、投資の効果は将来時点で実現するのだが、将来を完全に予測することはできないからだ。現在は有望とみられる技術でも、数年後には不要となる可能性は十分にある。AIが急速に進化している現在、そうした不確実性は、過去とは比較にならないほど大きくなっている。

 それにもかかわらず政府が重点分野を指定して投資を主導することは、誤った方向への資源配分を固定化してしまう危険を伴う。

 過去の日本の産業政策を振り返っても、政府主導の投資が必ずしも期待通りの成果を上げてきたわけではない。高市政権が掲げる「大胆投資」でも、失敗した場合のコストは国民全体が負担することになる。

「責任ある積極財政」というスローガンは、AI時代の不確実性を十分に織り込んだものとは言い難い。