三笘薫選手三笘薫選手 Photo:Robin Jones/gettyimages

いまや世界的なサッカー選手へと成長した三笘薫。そんな彼も、大学入学時はほとんど試合に出られない不遇の時期を経験していた。数々の名選手を育てた筑波大学サッカー部の監督が、コーチングの極意を明かす。※本稿は、筑波大学蹴球部監督の小井土正亮『「教える」を手放す 人とチームの自律を引き出すコーチング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

才能を生かすも殺すも
ティーチング次第

 指導者は、ティーチングによって、自身がもっている知識や経験を選手に教えたくなるものです。それはつまり、知らず知らずのうちに選手を「型」にはめてしまっていることになる危険性をはらんでいます。

 確かに「型」ができることで、そこから新しいものが生まれてくることもあります。そのため、まだ「型」すらない選手に対しては、ある程度「型」を教え込むことの意義はあるかと思います。

 けれども、「型」ができあがるようになることそのものが目的になってしまうと、それ以上のものが生まれなくなっていきます。

 こうしたときに思い出すのが、三笘薫選手の存在です。

 三笘選手のような特殊な才能をもった選手への指導については、結論として、彼のもっている才能をいかに消さずに、そして、いかに最大限に花開かせるかだけでした。

 具体的な指導の内容を思い出してみると、特に彼がまだ下級生の頃は、たびたび強く指導をした記憶はあります。チームとして要求している攻撃から守備への切り替えの部分での反応がまだまだ遅かったからです。