「残念ながら失った聴力を元に戻すことはできません。でもこれ以上難聴を悪化させない方法が近年分かってきました」
男性は身を乗り出して、私の話を聞きました。
加齢とともに難聴が起こるのは
耳の中の「毛」が薄くなるから
加齢性難聴を悪化させない方法の前に、なぜ加齢とともに難聴が起こるのかを説明しましょう。
一言でいうなら、頭髪と同じように「耳の毛」が加齢で薄くなるからです。耳の毛といっても、男性が気にする耳毛ではありませんよ(笑)。
耳は大きく3つのパートからできています。耳の入り口から耳の穴を通って鼓膜までを「外耳」、鼓膜の奥の空間を「中耳」、さらにその奥を「内耳」といいます。
耳の構造 拡大画像表示
内耳には聴覚の本体といえる「蝸牛」という器官があります。その名の通り、蝸牛はカタツムリのような巻き貝状の形をしており、中に木琴の鍵盤のような構造をした「基底板」があって、その鍵盤のような板の上に何万もの有毛細胞が並んでいます。
耳から入った音(振動)は、外耳、中耳を通って内耳の蝸牛に届き、基底板を振動させ、その上の有毛細胞の毛も揺れます。有毛細胞はその振動を脳が感知しやすい電気信号に変えて、それが蝸牛から出ている聴覚神経を介して脳に伝えられます。
つまり有毛細胞は音を感知するセンサーの役割を果たしているのですが、加齢や、大音量を聞くなどの物理的ダメージによって抜け落ちてしまうのです。
すると、音の情報をうまく脳に送ることができなくなり、難聴が引き起こされてしまいます。蝸牛の有毛細胞は一度脱落すると二度と生えてきません。脱毛した細胞を生やすことができる“育毛剤”は存在しないのです。ですから加齢性難聴は一度起こると進行する一方になってしまいます。
若くして加齢性難聴になる人は
生活習慣病を患っていることが多い
加齢に伴う現象ですから、誰にでも起こり得る可能性があります。しかし年をとっても加齢性難聴が起きる人と起きない人がいますよね。その違いは何でしょうか。
実は加齢性難聴になる人たちは「生活習慣病」を患っていることが多いのです。大規模な国内外の研究によって、加齢性難聴を早い年代から発症して進行する人は、動脈硬化のある人や、高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病にかかっていることが分かりました。
また見た目の特徴として、“おなかでっぷり”は危ない。内臓脂肪が蓄積されている可能性が高く、動脈硬化を進めて高血糖などになるリスク(=メタボ)が上がり、難聴を引き起こすリスクも高まります。
国内では、国立国際医療研究センターによる大規模な研究報告があり、肥満が聴力低下のリスク上昇と関連していること、また肥満に加えて血糖・血圧・中性脂肪、LDL(悪玉)コレステロールの上昇といった代謝異常があると聴力低下のリスクはさらに高まることが明らかになっています。


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