運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。
Photo: Adobe Stock
「こまめに歩く」がダイエットに効く!
次の図は、ニュージーランドのオタゴ大学が、糖尿病や高血圧ではない18歳から40歳までの人を対象に、ウォーキングと血糖値の関係を調べた調査です(※1)。
この調査によると「30分ごとに100秒、こまめにウォーキングするグループ」が、最も血糖値を下げることがわかりました。
「30分に一度、1分半ほど歩けば血糖値が下がり肥満を防げる」というのは、つい甘いものや炭水化物を食べてしまう人にとって、朗報ではないでしょうか?
BMI25以下になれば確実に血糖値は下がることがわかっているので、太り気味の方は、ぜひこまめに歩いていただきたいと思います。
運動しても、その後、座り続けたら意味がない
ちなみにこの調査では、18歳~40歳の、糖尿病や高血圧ではない70人を、次の3つのグループに分け、その後の血糖値を比較しました。
グループ①:9時間座り続けるグループ
グループ②:30分ウォーキングした後、座り続けるグループ
グループ③:30分ごとに100秒、ウォーキングするグループ
結果、最も血糖値が下がったのは最後のグループでした。
つまり一度運動したとしても、その後座り続けては意味がなく、こまめに歩いた方が血糖値は下がるということです。
まめに立ったり座ったりする
ウォーキングと言っても何も外を歩く必要はありません。
社内であってもちょっと違う階まで歩く、ちょっとコピーをとりにいく、ちょっとトイレに行く、何でも結構ですのでとにかく座り続けることを避け、まめに立ったそのタイミングで100秒だけブラブラ歩く。それで効果が出るなら御の字ですよね。
リバウンドさせないためには?
カリフォルニア工科大学の調査(※2)には「ダイエットに成功した後リバウンドしない人は、座っている時間が短い」という報告があります。
ダイエットに成功して3年以上やせたままでいる人が座っている時間は、太ったままの人より3時間短く、コンピューターを使ったりゲームをしたりしている時間も1時間短くなっていたそうです。
秋はおいしいものがいっぱい
日本の秋はおいしいものがたくさんなので、食事制限はなかなか難しく「つい食べてしまって挫折」という人も多いのが現実です。
でも「食べたら歩く」でダイエットを成功させて、健康な体を手に入れましょう。
ウォーキングは「食前」「食後」どちらが有効なのかについては、【医者が教える】太りやすいなら「食後3分で!」すぐにやるべきたった1つのことに記しておきました。
わたしがウォーキングを始めてダイエットに成功したエピソードは【医者が教える】やってみたらダイエットに最も効果的だったたった1つの運動とは?【書籍オンライン編集部セレクション】に記してあります。
よかったら合わせてぜひご参考ください。
※歩き方には「コツ」があります。お時間のある方は、本も参照してみてください。
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的で効果的な歩き方が紹介されています。ウォーキングで効果を出すには歩き方に「コツ」があります。このコツを本書でぜひ掴んでください。
【参考文献】
※1 Peddie MC, et al. Breaking prolonged sitting reduces postprandial glycemia in healthy, normal-weight adults: a randomized crossover trial. Am J Clin Nutr. 2013 Aug;98(2):358-66. doi: 10.3945/ajcn.112.051763. Epub 2013 Jun 26.
※2 Roake J, et al. Sitting Time, Type, and Context Among Long-Term Weight-Loss Maintainers. Obesity. 2021 Jun;29(6):1067-1073. doi: 10.1002/oby.23148.